『ボーダーランズ』に登場する武器商人マーカス・キンケイドは、武器自販機を使うたびに「顔が良すぎるってことがないように、武装しすぎることもない」といったセリフを繰り返す。何度も聞かされるので、いつの間にか耳に馴染んでしまった。
それを聞くたびに思う。
いや、「良すぎるってことがない」ものなんて、世の中にはいくらでもある。
お金がありすぎて困る。武器が強すぎる。人生が長すぎる。そんなものは、ほとんどの人にとって縁のない話だ。
もし本気でそう思っている人がいるなら、基準がバグっているとしか思えない。
そう考えると、人間というのは不思議なものだ。
足りないものばかりを数えていると、「もっと、もっと」と欲が膨らんでいく。一方で、すでに十分持っているものには驚くほど鈍感になる。
だからこそ、昔から賢人たちは似たようなことを言ってきた。
釈迦は執着を手放せと説き、孔子は節度を重んじ、老子は「足るを知る者は富む」と語ったとか。
「足るを知れ」という言葉は、「何も求めるな」という意味ではない。
むしろ、人間の欲望は放っておけば際限なく膨らんでしまうことを、昔の人たちはよく知っていたということなのだ。
だからこそ、「ここで十分」と立ち止まる知恵が必要になる。
もっとも、それでもゲームの中では話は別になる。
レア武器が落ちれば欲しいし、ダメージが少しでも高い銃を見つければ持ち替える。インベントリがいっぱいになるまで拾い続ける。
そういう意味では、現実で「足るを知れ」と言っている人間も、ボーダーランズではマーカスの商売にまんまと乗せられているのかもしれない。

コメント