額に白い三角形を貼り付けた、自称「営業」の幽霊が枕元に現れた。
前に会ったことがある霊なのか、こちらにはよくわからない。
今どき枕元に現れる幽霊も珍しいが、額に白い三角形を付けているのも珍しい。
気になって「それ、なんですか?」と聞いてみた。
すると彼は、こちらの目を見ないまま、早口であれこれ語り始めた…要約すると、その白い三角形は御札みたいなものらしい。
コロナのレプリコンワクチンによって死んだ人の霊は、電波を発していて、生きている人間の脳波に悪影響を与える「電波感染」を起こします。その電波を吸収して無害化するための御札…だそうだ。しかも中には「@」と「✛」を組み合わせたような記号が紙片に描かれているらしい。
たぶんだが、「霊界ではそういうのが当たり前なんだ」と解釈してはいけない気がする。たぶんこの霊、なんていうか……ヤバいやつなんじゃね?
そう思ったら、どうやら相手もそれを察したらしい。
「怪しいと思いましたよね? みんな最初にそう思うんです」
あ、やっぱりこいつヤバいやつだ。みんなに怪しいと思われている。
でも彼はキョドりながらも「本当なんです」と言った。
わざわざ私の家に押しかけてきて、生きている私に話しかけてくる時点ですでに十分怪しいのだが、さらに話を聞くと、コロナとコロナワクチンは、この世(現世)で人を殺すことが目的ではなかったらしい。あの世(死後の世界・彼岸)で毒電波を発する霊を大量生産することが目的だったという。しかも、米国の秘密組織が武漢に送り込んだ科学者チームの一人が、その計画に関わっているらしい。
ま、…よく分からんけど、詳しい。ああ、確定だ…聞き流したほうがいい話だ。
しかし、どうしてそんな話をこの霊だけが知っているのか。もうこれ以上この話を聞いてもしょうがない。
というより、そもそも私になぜこんな話をするのか?そう聞くと、彼はこう言った。
「あなたに一緒に来てほしい」
ああ、やっぱり君は死神なの?
「違います」
違うらしい。
「嘘だと思うなら、今は嘘だと思っていい。だから、一緒に来て嘘か本当か確かめるべきです?」
いや?、一緒に行って戻ってこられないほうが困るんだけど。すると彼は、
「嘘だと思って疑問に思っているなら、自分の目で確かめるべきです」
「一緒に行ったからといって、戻ってこられないということは絶対にありません」
などと、なかなか無理筋な説得をしてくる。
絶対という言葉をつかうヤツを私は絶対に信じないことにしている。いや、そもそもそんなに興味も湧いていない。
だいたい、あなたの目的が分かりませんよ?幽霊さん、あんたの名前すら知らないし。こいつとは詳しくも親しくもない間柄だ。
だが、ここまで言われたら逆に、根掘り葉掘りこの幽霊について、ずけずけと聞いてもいい権利を得たような気もしてくる。
そうなると、ちょっとだけこちらも調子に乗って、強い立場であれこれ質問をしていい気はしてくる。すると彼は、
「私が悪い霊だったら、あなたの意見を聞かずに魂を奪いますよ?でも、今あなたはまだ生きているでしょう?」
「…ということは、私は自分で言うのも変ですが、いい幽霊だということです」
「正直ないい幽霊の話はしっかり聞いて、言うとおりにするものですよね?」
……まあ、確かに一理なくもない。まあ、これふつーに営業マンのクロージングだよね。
彼の人格というか誠意を認めないことになってしまう…ここで断ったら、きっと永遠にさようならだ。
彼はこう見えて、割とやり手の営業マンなのかもしれない。明日の夜にまたドロンと出てくるらしい。
そのときに、一緒に来るか来ないか決めてほしいという。
「有無を言わさず連れて行くこともできます。でも、それでは何の意味もありませんし、ルールにも抵触します」
などとも言っていた。幽霊の訪問営業?にもルールがあるらしい。
そんなわけで、明日の夜、私はこの幽霊と一緒にどこかへ旅立たないといけない。
もちろん、戻ってこられるという保証はない。ただ、夢の中でどこかへ行くというだけなら、それはそれで人助けになる?
そう考えると、意外と前向きに検討していてノセられている自分がいる。
(…ああ、いつも自分が騙されるパターンだな)

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