創作|AIによって幽霊がいなくなりつつある

徒然草2.0

この前、寝床で横になりスマホでTikTokを眺めていたら…枕元に亡霊が現れた。私は「月が綺麗ですね」と言ったら「そうですね」と返ってきた。妙に丁寧な受け答えをする人だったが、どこか疲れているように見えたので、「なんの仕事をしているかたなのですか」と聞いてみた。「見てのとおり営業みたいなもので。あっちに行って顔を出したり、こっちに行って顔を出したりしているだけです」とのことだった。

それに何の意味や目的があるのかとも思ったが、人の仕事の無意味さや無目的さを問い詰められるほど自分は偉くないし、失礼かなと思ってやめた。たぶん相手も深く聞かれたくないから曖昧な言い方をしているんだ。

ただ、家のドアには「営業やセールスはお断り」と貼ってある。私が怪訝な顔をすると、彼は慌てて、「でも、お金はとりません」と言った。

逆に胡散臭い。…怪しいやつがいたら、とりあえず撮影や録音をしていることにしているので、「スマホで撮影してもいい?」と聞くと、「別にいいけど」と言う。

調子に乗って「これ、ネットにネタとしてUPしていい?」と聞いても、「別にいいけど」と言った。ただ、「でも誰も私を幽霊だなんて信じないですよ?」と寂しそうに言う。

はっきり現れれば人間と変わらないし、薄く現れても染みか何かにしか見えない。脳科学で人間らしいものが脳によって構成されていると考えられるようになってから、ますます幽霊は立場がないとか言っていた。最近じゃAIで簡単に僕らの映像が作られるんで、もうテレビもネットも嘘松だらけですと、急にやつぎばやに愚痴を言い始めた。

私は気の毒になってレモンサワーをついでやった。そのあと私も何か話したが、たぶん私の話には興味がなかったのだろう。彼は闇の中にスゥと消えてしまった。

自分が話したいことを話さず、もっと話を聞いてあげればよかった。気がついたら朝だった。こんな話をしても誰も信じてくれない。稲川淳二が日本共産党を応援しているより怖ければよかったのに。やっぱりAIで幽霊も廃業なのか。

AIを使って幽霊をbot的に巡回させれば、自分で営業しなくていいのではないかと逆営業してあげればよかったのかな、とも思った。でも、なんだか違う気がする。幽霊にも世知辛い世の中になったものだ。道理で最近、「幽霊に会って怖い目にあった」みたいな話を聞かないわけだ。

調査の仕方がわからないが、AIによっていなくなった亡霊や妖怪ランキングとか作ればいいのかな。

床の間がなくなり座敷童が滅び、お風呂を潜在で綺麗にしたせいで垢嘗めが滅び、ドラム式乾燥機で一反もめんが滅び、いろいろ昭和から平成にあったはずだが…ネットで調べてもあまり情報がでてこないので、何か知っていたら教えて欲しい。

徒然草2.0
スポンサーリンク
シェアする
gomiryoをフォローする
ごみぶろぐ

コメント

タイトルとURLをコピーしました