『不夜脳』という、脳神経外科医による挑戦的なタイトルの本を読んだ。まあ、ざっと太字のとこしか読んでいないので読み誤っているかもしれないが、以下の感想を持った。
所管:一見とても正しいが、素人の読者がシンプルに解釈すると危ういような?
提示されている理屈や仮説自体は、一見するとどれも筋が通っているように見える。
ただ、「脳は刺激し続けたほうがよい」という主張については、そのまま一般化してよいのか疑問だ。
そもそも“刺激”といっても質の違いがありすぎるだろう。
認知機能を高めるような良い刺激もあれば、ストレスや情報過多のように脳の負担となる悪い刺激もある。
それらを単純に一括りにして「多いほど良い」とするのは、現実の複雑さを捨象しすぎているのではないか。
そもそもビジネス自己啓発系の本だと、脳の負荷を上げずに仕事をするというのが基本で、使えば使うほどいいと言うニュアンスでは語られない。
例:認知症と睡眠についての見解について
たとえば、認知症と睡眠の関係についても、「日本人に認知症が多いのは睡眠不足ではなく長寿の結果である」とか、「認知症によって睡眠時間が短くなるので因果関係は逆である」といった説明は、可能性としては成立する。しかし、それだけをもって「睡眠はそれほど重要ではない」と結論づける感じで書かれていないかもしれないが⋯さっと読むとそう解釈してしまう。因果の一方向だけを強調すると、全体像を見誤る危険がある。
実際には、睡眠不足が長期的な認知機能低下のリスクになるという研究も多く、脳と身体を一定時間休ませることの重要性はある程度コンセンサスがある領域でもある。そうした既存の知見を十分に踏まえず、個人の見解や仮説を前面に出す構成は、読み手によっては誤解を招きやすいのではないだろうか。
この本は“可能性”の話をしていないのかもしれないが、読み方によってはそれが“新しい正解”のように受け取れてしまう。
極端な解釈をすれば、睡眠を削ることや過剰な刺激を正当化する方向にも進みかねない。
もちろん、著者個人の経験や特異な条件においては成立している話なのかもしれない。
しかし、それと一般的な健康指針や再現性のある科学的知見とは分けて考える必要がある。個人の成功例と普遍的な最適解は一致しないことが多い。
こうした本を読むと、どの主張もそれなりに説得力があるため、自分の生活に取り入れたくなる。
しかし、最終的には、単一の理論に依存するのではなく、自分の体調やパフォーマンスを見ながら、長期的な習慣として最適なバランスを探るしかないのだと思う。
少なくとも、睡眠のように広く重要性が認められている要素については、安易に軽視する方向に振れるべきではない。
そうしたことを踏まえたうえで、仮説として距離をたもちながら読むのが、この本との適切な付き合い方なのではないか。
例:麻雀と脳処理との関係
これも個人的な見解だが、著者は麻雀が好きらしい。
麻雀が好きな人は、脳が並列に働き、さまざまなパターンが見える状態を「頭が最も働いている瞬間」と感じがちだと思う。だが、その感覚を仕事のパフォーマンスや生産性の高さと安易に結びつけるべきではないのではないか。
というのも、麻雀は徹夜で半ば夢うつつの状態で打っているときほど楽しく感じられるが、それは単にそう錯覚しているだけではないかと思うからだ。
以上を踏まえると、この著者はビジネスのために医師という立場を利用しているタイプなのではないか、という印象を持った。ただし、これは太字部分だけをざっと読んだ段階での感想にすぎない。実際のところはどうなのだろうか。
Amazonレビューの批判的な見解を集めてみた
つーわけで、真っ当層でかなり怪しい本だな。ということで私と同じ危ういなという感想がないかAmazonレビューを見てみた↓
- うつと不眠について一切書かれていなかった。
- 自分の仮説を都合の良い解釈で埋めている。
- 最後のほうで睡眠薬をかなり肯定していたのが気になった(依存症リスクもある)
- 売れているわりには大した内容ではない。
- 根拠が薄い。論文をひけば根拠になると思っていそう。
- タイトルと内容が一致していない。題名に期待する専門性がない。
⋯ま、こういう感想でてくるだろうなぁ。⋯というわけで、わりと睡眠に関する本が好きなわたしには本のタイトルと書き方とかが上手いな!ぜったいこれ読みたくなるやろ!と思う一方、色々と違和感を感じざるを得ないという人も多い本なんじゃないかな。

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