戯言。ブルーリーフ(1)

徒然草2.0

前日、カップラーメンを食べたのを覚えているーー

その割り箸を手にとり、

ガスコンロで火を灯して、

しばらくしてから火を吹き消した。

ワンカップ大関の瓶に水をいれて差し込み、

“何かが違う”

割り箸を燃やした煙は、狭い部屋の匂いにかき消された。

とてもじゃないが、線香の代わりにはならなかった。

むかし、”神は死んだ”と言った人がいるらしい。

そのせいか知らんが、そいつは頭がおかしくなって死んだ。

ニヒリズムに陥ったとか陥っていないとか、

超人になったとかならなかったとか。

…ふと男は、そんな話をどこかで読んだのを思い出した。

短絡的な解釈だったが、男はあまり気にしていなかった。

そして、割り箸が入った瓶を母の遺骨の前に置き、

「何で死んだんだ!」

祭壇を設えて男は何かに祈るつもりだったが、

急にバカバカしくなり、頭の中に色々な感情が沸いてきた。

「これから一体どうすればいいんだ!!」

ふいに沸いた怒りが男の心を支配した。

少し先の未来を考えただけで恐ろしくなった。

他にも色々な思いがあったはずだが、全て怒りで吹き飛んだ。

男は奇声をあげて、母の遺骨が入った箱にワンカップ大関が投げつけた。

あたりに水が飛びっ散る。

男にとって特に気にするものもなかったが、

生前に母が買ってきたB5サイズの月刊誌に水が垂れた。

ーー○○小説新人賞 特集ーー

未だほぼ読んでいない其の雑誌に水が染み込むのを嫌がって、

男は服の袖で拭った。

自分の名前はなかった。それだけで、読むに値しない。

さっきよりも強い怒りが込み上げてきたが、

それを買ってきた母親の姿を思い出して少しだけ冷静になった。

「一体どんな作品が選ばれたのだろう?」

少し冷静になってその場に寝転んで特集ページを開いた。

しばらく黙読した後、彼はまたいつものように、

いやいつも以上に怒った。

「驚いた!丸パクリもいいところだ!!」

しばらく部屋で再度奇声をあげて暴れた。

それでもまったく気持ちが収まらなかった。

その日の晩、男は眠らずにある計画を思いついた。

「許せない!絶対に許せない!!」

僅かなお金が入った財布とその雑誌をリュックに詰めて、

日が昇る前に男は家の外へ出ていった。

(つづく)

徒然草2.0
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