映画『エスター』を見た感想。前半はホラーだが後半はアクション。見ている最中は次が気になり面白いが見終わると残念な気持ちに…

徒然草2.0

ネタバレあり。

残忍な女の子エスターを孤児院から引き取ったせいで不幸になっていくファミリーの話。

あらすじが初めから分かっている時点で、あまり見る気がないなーと思っていたが、ときどきネタにされるので見てみた。

結論から言うと十分に面白い。見終わった後より、見ている最中に楽しめる映画。ただ、見終わるとちょっと微妙なオチという感じがしてしまった。後半からはホラーというよりは、サスペンスアクションで裏切られる展開になった。見ているうちにどう終わらせるのか?が、よく分からなくなってきたが。ああ、そうきたかー、という感じで驚いた。映画慣れしていないせいだろうか。

映画の視聴者は神の視点。被害者側のファミリーの心情も、エスターの心情も、おおむね分かった上で見せられる。エスターはサイコパス的なヤツかと思ったが、怒りも悲しみも感じているようなので奇妙な気持ちになってくる。エスターに共感をしてしまったりもした。あとエスターは賢いように見えて、犯行にアラが残り、鮮やかというわけでもない(まあ、それがなぜなのか?については映画後半で明らかになるが)。エスター自身にも映画のシナリオにも妙な違和感がいくつも残る感じだった。

例えば最後に、養父のジョンを色気でかどわかそうとするが、9歳の肉体ではいくらなんでも無理があります。ジョンは浮気性なだけであってロリコンではないからです。

養父ジョンの浮気性を養母の日記から知ったエスターが自分でジョンを”かどわかせる”と判断していたとしたら、ずいぶん計算が甘い気がします。大人顔負けに賢くて優秀なのになぜそれが分からないのか?

エスターはエディプス・コンプレックスなのだろう…アル中の養母を家から追い出すことに成功した場面を見て、視聴中の私はそう思いました…。9歳の精神年齢ならば、そういった大人の精神の機微を理解していないという設定ならばありえます。ジョンも最初は家族に対しての愛情と性愛を間違えて理解しているんだと思っていた。いや、実際にエスターはその部分を正しく理解できていなかった。と解釈するのが映画の最初から最後まで一貫しています。実際のエスターが33歳であるということがわかってくると…コイツいつか犯罪にボロが出るタイプだなという感想を抱かざるをえません。なんで賢いのに、自分の精神異常を客観視できなかったのだろう?自分の目的のために相手の心理を手玉にとる方法は長けているのに。ただ、養母に対する憎しみと養父に対する愛情をエスターが感じていましたし、幼少期の感情を拗らせた女なのでしょう。そういう意味ではエスターは殺人さえしなければ普通の人間と同じ精神をもっています。動物や人を殺すことに躊躇わない部分はあるが、喜怒哀楽はしっかり持ち合わせているのです。そういう意味ではエスターは人間社会に対しては被害者なのでしょう。映画の視聴中エスターの感情にあまり注意がいかないですが、映画の初めにわざと養母と養父の夜の営みを阻止するところや、それをマジックライトペンで自分の部屋に描いてしまうあたり、養母に対しての恨みが凄まじい。たぶん過去に父親ではなく母親に何かされたタイプの子だったのでしょう。そういう意味で結構早い段階でエスターは被害者という立場で見ていました。

…で、なるべくしてなったエスターさん破滅のエンディングでした。ロシアでファミリーを惨殺した時は(家族の乗っ取りは下手したものの)証拠の隠滅は上手く行ったが今回は自身がヤられる結末となりました。

…ま、視聴者が最後まで映画を見てくれればいいわけで、映画を見終わったあとの気持ちは考えていない映画なんでしょう。(後日談みたいなものがエンディングのあとにあったのかもしれませんが見ていません)。最近そういう映画が多い気がしますが、ちょっと自分はそういうのダメですね。映画の前にも映画の後にも矛盾がないようにしてほしい。

※追伸…尼崎の角田〇代子みたいにファミリーの乗っ取りに成功した女大将をストーリにした映画や話を探しているんですが、その手の話ってないんですかね。エスターが家族の乗っ取りに成功したシナリオを見てみたいが未だに「これだ!」というのを見つける方法が分からないです。調べてみると、その人を題材にした映画があるみたいなんでそっちを見ればいいですね。後で調べてみよう。

徒然草2.0
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