日記|村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいる(3)最後まで退屈だったが、読んでよかったと思うことにする。ネタバレあり

徒然草2.0

村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み終わった。

読んでいる最中は退屈で、たいへん辛かったが、最後まで読んでよかったとは思っている。たぶん、この本に挫折したら村上春樹の長編小説はもう読まないだろうと勝手に思い込んで、がんばって読み切った。

ネタバレあり。

初めから読みたい人は結末を知るべきではないと思う。結末を知ってから読むのと、分からぬまま読むのとでは、読んでいるときの感想が変わってしまうだろうから。

結論から言うと、ストーリーは、国家公認の「組織(システム)」で働く計算士の主人公(35歳)が事件に巻き込まれる……という話だけだ。

まあ、事件と言っても、老博士から仕事を請け負ったら、自宅を「組織(システム)」に敵対する連中にぶっ壊され、老博士のピンクが似合う太った娘(17歳)と一緒に、老博士のいる地下へ入る。そこで老博士から事実を明かされ、地上に戻っていろいろと用を済ませたあと、脳内にある並行世界「世界の終わり」に残る決断をする。

ハードボイルドというわりに、そういう荒っぽい要素はほとんどなく、淡々と話が進むだけ……なのに、やたら長い。描写は丁寧で読みやすく、哲学っぽい。読み方次第でいろいろと考えられるし、感想も無数に作り出せそうではあるが、わざわざメモするほどでもない感じ。

ヤミクロと影って何か関係あるのかな?とか最初のほうで思ったけどたぶん関係ないのかな。細かい描写の意味があっても、ちゃんと読めていない気がする。

並行して進むストーリーの「世界の終わり」が主人公の脳内にあると分かった時点で、私は「世界の終わりに住みたいなー」と思った。だから、最後にやっぱり「世界の終わり」に住むのか!というオチには、なんだか納得感があった。思ったとおりになってよかったというか、そうなるしかない必然だよなと思った。

これがもし、図書館の女と人生をやり直す男女再生の物語だったら、ハッピーエンドかもしれないが、「アホくさい」という感想になったのかもしれない…え男はバツイチで図書館女は未亡人だったの?…なにこの結末?と思って、焦った。

…だから、あー……本当によかった!と思ってしまった。

まあ、後日談として、太った女の子が歳を重ねたあと、冷凍睡眠から目覚めた35歳の主人公を生き返らせるエピローグがあってもいいかもしれない。

が、それは読者が考えるところなのだろう。

まあ、そんなエピローグがあったところで大した話ではならないだろうけど。


……というわけで、短編小説は読んだことがあるが、長編小説という意味では「はじめての村上春樹」を済ませ、「また読んでみよう」と思えたことは大変よかった。

一つ思うこととしては、小説に男女の性別は意識するものではないとは思いつつも、村上春樹は男が書いたということもあって、「男が読む小説」だと思っている。

なぜこれが女性に人気なのか、正直まったく分からない。分からないから小谷野敦の「病む女はなぜ村上春樹を読むのか」を読んでいるのだが、病む女は男の心理描写に興味があるとか?知らんけど。

私がこの本を、20代で読んでも、よく分からなかったかもしれない。おそらく意味は分かるが、なんだったんだろう?て感じの読後感と思ったかもしれない。まあ、なんだったろう?感は多少あるけど。わりとこの「男の人生のリアリズム」みたいなテーマが好きだったというのもある。『終の住処 』(磯崎 憲一郎)みたいなやつと同ジャンルだと思うが、どこでそういうの見つければいいのだろう?

…例えば、特に理由は書かれていないようで、ちゃんと書かれてはいるのだが、図書館の女とは寝るのに太った女の子とは寝なかったことの微妙な差。そういう、言葉にはできないけど、よく分かっている…つもりだが、果たして女性には分かるんだろうか?と勝手に思ってしまう。

これは分かりやすい描写だけど、ほかのシーンでのたとえやストーリーなどで、なぜこれがこうなっているのか、といったところも分かって読んでいるのだろうか。

「背の高い女で器用な人に会ったことがない」とか、何の根拠もないのに、ああ確かに、と思わせてしまうあれこれもよかった。

…というわけで、ほかの作品もこれでダラダラと読める自信がついたので、また村上春樹成分を自分の体内に残しつつ、次へ歩を進めることにする。

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