20歳の誕生日に不思議なことがあった女性の言葉に耳を傾ける村上春樹。ただ不思議なことがあっただけで、実際に何があったのか詳細には語られていない。
地味だが素敵なレストランでウェイターとして働いていた女性が、20歳の誕生日に一度きり会ったその店のオーナーに「何らかの夢を叶えてもらえた」そうで、それについて「後悔していないか?」と聞き手の村上春樹に語っている。ただそれだけの話。
村上春樹自身が20歳の誕生日にレストランでウェイターをやっていて、何の変哲もない日を過ごしたことを覚えており、もっと誕生日が「公平で何か特別なことがある日」であればいいのにという願望があったのか、そうではないのか。そのような話なのですが、実際に何か願いを一つ叶えてもらうとしても、「それが何であるか」、そしてそれは望むべきもので「後悔のない願い」なのかというと、孤独な私たちにはこれというものがあるかというと難しいというか、叶ったところで何か大きく変わることもないだろう、みたいな。
…というわけで、読者は最後にそのへんのことを考える仕組みになっていて、特に謎みたいなものが解き明かされることもない。意味ありげなレストランオーナーの言葉が、後でいい味を出している。
……でも、それは短編だからそう思えるだけで、これが『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』みたいな長編小説だったら、自分は名作だと思えなかったのではないかと思う。
3歳年上の公認会計士と2児をもうけて順風満帆な人生を歩んでいる彼女の様子が、僕にはどこか妥協して生きてきたように見える。だがこの短編を長編にしてみろ……うんざりするはずだ。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』も『バースディ・ガール』のように短くてよかったはず。こうした人生の問いを語るだけの作品なら50ページに収まる。
まあ、私が村上春樹は短編なら読めると思っているのはたんに長編小説が苦手なだけかも。志賀直哉の作品が好きだけど暗夜行路は読んだことがないみたいな感じだもんで(汗)
オチがちゃとかかれた…すごいくだらない作品になるだけど、おそらく彼女が願ったのは「東京タワーの見えるところに住みたい」だったに違いない。大分からでてきた女の子が、港区のいいところに住みたいな…で、それがなんとなく願いは叶ったけどそれだけだったという。村上春樹が港区女子だった愛人?と話を聞いていてインスピレーションを得た作品なのだろう。(勝手な憶測👼)

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