応用情報技術者試験の過去問のマーケティング分野について、過去問から断片的に学んでいることに問題意識があった。ただの試験の勉強になってしまっていて、というのは言い換えれば本当に理解できているという感触がないのだ。また過去問と似たような試験問題が出れば解けるかもしれないが、肩透かしを喰らえばそれまでの使えない知識でしかないということだ。使えない知識な時点で記憶に残らない。。また試験が終わった後でも、より体系的で実務にすぐ使えそうな知識も得ていきたいと思っていて、マーケティング検定3級の教科書として勧められていた『ベーシック・マーケティング』第2版を手に取ってみた。
…思った以上にこの本は良くできている。最新の事例についてマーケティングを一線で行っている人の目線から語られている点がいい。STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)は”この順番で通常行うからSTPと呼ばれているんだよ”みたいな、授業でその道の先生がぼやくような、暗黙知的な内容なども含まれていて、読み手が「あ、そうなんだ」と何か気づきを得られるテキストになっている点が大変良い。あまりに教科書的になりすぎたり要約されすぎるとその手の情報が欠落してしまい無味乾燥で在り来りになる。それにマーケティングが立体像で見えてきづらい。この本に関してはそんなことはなかった。アマゾフのPPMに関してもどのように使えものるか、他の代替案が考えられるという見解なども気づかないものだけど、そのあたりの知見もカバーできる。個人的には全部舐めるように読む時間がないのが惜しいが、マーケティング業務に携わる時に手元にリファレンス的に置いておきたい一冊だと思った。
…例えば、バルミューダの製品について言えば…トースターや扇風機はデザインや機能がいいわけでもなく、大企業の製品よりもすべて優れているわけではなく、ただ1つ抜きに出ているところに企業が資源を投入している。また、それを指示する人がいて商売が成り立っている=戦略的マーケティングの成功例だと捉えると良い。戦略的マーケティングとはベーシック・マーケティングによれば「個々の製品やブランドのレベルではなく事業や企業のレベルで環境変化と自社の有する経営資源の割合を志向するマーケティング」のこと。
点と点の知識が線を結び、その線と線の結びつきが面を描き、どの点からスタートしても最短距離で、多面体の知識が展開できるようになって、はじめて知識は使える形になる。少なくとも人からマーケティング的な話を振られても、頭の中の知識体系が立体を成していれば、無理なく無駄なくムラがなく聞き入ることができるし、疑問点や違和感も洗い出しやすい。相手に伝える時もよく分からない部分がないので、適切なアウトプットが可能になるはず。その一助になる本だった。
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