結論から言うと、オライリーの本つーか外人が書く本は冗長的で好きではないが、この本は著作者に並んで訳者も優れている。自然で無理のない日本語で描かれており、非常に読みやすい。手元に置いておきたい1冊。
様々な技術や商売の特性を意識して、トレードオフ分析を行い、システムの構造を決めていく作業を担う人が、アーキテクチャと言うのだ…ということが最初の部分を眺めているだけで、かなり明晰、明確、クリアになった。
ちなみにアーキテクトの最大の悩みは、技術選定じゃない社内政治だ。
そのことににも、しっかりと触れられているのが個人的には好印象だ。
例えば、これ↓
アーキテクトには、企業の政治的風土を理解し、政治をかじ取りする能力が求められる。(中略)アーキテクトが下すほとんどの決定は反発される。
アーキテチャ決定は、コストや作業量(時間)の増加といった面から、プロダクトオーナーやプロジェクトマネージャー、ビジネス側のステークホルダーから反発される。そして、自分たちのやり方が良いと考えている開発者からも反発される。いずれの場合も、アーキテクトは社内政治をかじ取りし、交渉術を駆使して、ほとんどの決定を承諾してもらわなければならない。
読んでいるだけで仕事シーンを想像してしまい吐き気がしてきた(苦笑)どストレートに言ってしまえば、政治能力がないアーキテクトは組織内の誰からも敵に見えてしまうポジションだということ。にも関わらずアーキテクトの役務を貫かねばならぬ立場を担うのは、相当の責任感つーか揺るがない信念ないとできないね?もしくは、ある種の楽観主義つーのか人間性の面で一皮むけてないとできなくね?
私の優秀なアーキテクトの理想イメージは、みんなから好かれているイケオジがやっている、かな。とりあえず、組織内のすべてのステークホルダに対して真摯に向き合わないといけないのね。先に言ってしまえば、ただの技術好きがなる仕事じゃないってことですね。というような、技術面に限らず、知っておくべきことにもこの本はページを割いてくれている。
…その時代あの時代によって、アーキテクチャが求められる知識は目まぐるしく変わっていった、という歴史的な変遷も分かりやすかった。
…だからこそ、アーキテクチャの定義は難しく一筋縄ではいかない。アーキテクチャの定義は難しいとしつつも定義を行っている。こういう書き方をしておけば「古くなりにくい」。流石。アーキテクトはそのような広い範囲でシステム構成を全方向から語れなければならないのだ。。
「なんとなくスケーラブルで流行っているからサーバレス♪」などと漠然と考えている私のような適当人間には到底務まる職種ではない気がするのだが、とりあえず広く学んでおかなないといけない気持ちにさせられた。
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