『41歳寿命説』(西丸震哉)を読んでいる。ただし、ことごとくこの本の予想は外れている。(苦笑)面白そうだと思って手にとったが、冷静に読むと内容が明らかに古臭い部分もある。でも統計的に平均寿命が伸びた理由は新生児が亡くなりにくくなったのと生活環境が衛生的になったのと医療が発達して老人が死ににくくなったことなどが理由なのはおそらく事実であり、これからもその傾向は続くわけで、そのへんは概ね正確に事実を述べている面も多々ある。
…この著者によると、昭和34年以降に生まれた人の寿命は下がり続けて41歳が寿命になる、みたいなことを言っている未来予想&とんでも本なわけですが、わりと新しい本かと思ったら、1990年が初版で1995年の44版とのこと。30年前の本であった(汗)
でも、カップラーメン食ったら早死にする説みたいなのは、ガクトとかもそれに近いことを言っているし、今もその手のフィクションは未だに残っているばかりか、今まさにコロナのワクチン問題とからんで非科学/非医療の見解が力を持ってSNSで流布される時代になっている。
身近にいる働き盛りの40~70ぐらいの人が、急に脳や心臓の疾患やガンでぱたっと死んだら、どこかに根拠を求めたくなる。それよりも若ければなおさらだが、その傾向は30年前も今も変わらない、むしろその傾向が強まっているという意味では、この本を今読む意味があるのではないか。
西丸震哉氏の本でも、長寿になりたければ、カロリーとタンパク質を抑えてハードな運動を控えて質素に生きることが勧められているわけで、今も通用する長寿の秘訣が書かれている。ある程度、高齢になったら食事制限はせずに、たくさん食べたほうが長寿になるようなので、ケースバイケースだとは思う。
ただ、団塊世代が後期高齢者になってまだ日本人の寿命はまだ伸びているが、ストレスフルな就職氷河期世代が後期高齢者になった時、寿命はまだ上がるだろうか下がるだろうか?下がるのかもしれない…私がもし長生きしたら答え合わせができる。
西丸震哉の未来予想は的中してないと言えるが悲惨なことを書いている「労働人口はいまの半分から三分の二くらいになり、しかも各人の健康度も落ちているから、労働不足による食糧不足ということが起こる。石油などの燃料の不足も同時に起こるから、原子力も危なくて結局利用できなかったというとき、牛馬が再び人力をカバーして農耕を助けるという社会になっていく。さんざん安楽と繁栄とを求めて大変革をすすめてきたら、それが原因で以前と似たりよったりの社会になってしまうわけで、ひどい挫折感を味わうことになるだろう。乞食が王様になって、また乞食に転落したようなものだと思うだろうが、そのときの乞食は、電気洗濯機、掃除機、冷蔵庫などを持った乞食であり、舗装道路、電話、テレビなどのある乞食社会なのだから、ニューギニアの原始社会がそこに再現されるようなものではありえない。年配者は、乞食がいっとき王様の生活をやれてよかったと考えて、それをいい思い出として懐かしむことができるかもしれないが、生まれたときからすでに王様モドキになっていた若者たちは、だまされた、どうして乞食にならなきゃいけないんだ、オレは王様なんだ、と息巻かずにはすまないだろう。彼らをそんなふうにしてしまったのも、もとはといえば、人間の正しい姿を教えてこなかった、年配者の失敗ということになる。ここ数十年、日本は世界中のどこの国よりも急速に文明化し、目先の安楽追求願望はかなり満たすことができた。だが、それは歪みを大きくすることでしかなく、もともとの生物としての基本的な形をどんどん崩してきてしまった。そのツケが、いやおうなく日本人に突きつけられている。」
…文明化つーか経済成長では?西丸震哉は、戦後の高度経済成長が大嫌いな人なんだな、ぐらいの感想しかないけれど、経常利益が黒字でも貿易赤字で喘ぐ日本経済の生末にもしかしたら一部でも正解と言えるところが出てくるのかもしれない。
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