雑思想史。近代的理性の批判。

徒然草2.0

西洋人が目指してきた近代社会が必ずしも理想とは言えなかったため、近代に成立した理性が疑われはじめた。

実存主義

実存とは現実存在のことで個々の意識を変革することで人間性を取り戻そうとする思想が登場した。これを実存主義という。

キェルケゴールは自分自身にとっての個別的・主観的な真理「主体的真理」を追求した。『あれか、これか』『死に至る病』を著した。

ニーチェは、キリスト教の教えは奴隷道徳だと考え、弱者のルサンチマン(怨念)に基づき強者を貶めていると批判した。『ツアラトゥストラはこう語った』を著した。「神は死んだ」という言葉が有名だ。ニヒリズムに陥らず自分の人生を肯定して運命を愛する超人を目指すべきだと説いた。

ヤスパース、ハイデガー、サルトル、ボーヴォワールもまた実存主義的な思想を展開した。

精神分析学と分析心理学

フロイトは『夢判断』を著した精神分析学の開祖であり、人間の理性には意識で制御できない無意識があると考えた。エス、超自我(スーパーエゴ)、自我(エゴ)という3つの言葉で説明した。

ユングは個人の無意識と集合的な無意識を区別した。

フランクフルト学派

なぜ「理性」が近代市民社会によりヒトラーのナチス政権のような「野蛮」が発生したか。ドイツのフランクフルト大学の社会研究所の思想集団により近代理性批判がなされた。

ホルクハイマとアドルノは『啓蒙の弁証法』で理性は自然を支配することで文明を進歩させる一方、その進歩は管理社会を作り上げ人間を抑圧する「野蛮」に陥らせると説いた。『啓蒙の弁証法』を著した。理性はある目的に対する効率的な手段を判断・計算するだけの画一的な「道具的理性」になったとして科学技術を否定。ナチズムに従うような現代人の社会的性格「権威主義的パーソナリティ」の研究を行った。その後、フロムやマルクーゼにより研究が進められた。

ハーバマス

ハーバマスは討論を通じて合議を作り出す対話的理性(コミュニケーション的理性)に目を向けた。『公共性の構造』を著した。

構造主義

理性ではなく人間の無意識の規則=構造によるという思想も近代的理性を破壊した。

ソシュールの構造言語学は言葉と意味の間に本質的な関係がないことを指摘した。レヴィ・ストロースは未開社会にも文明社会に劣らぬ複雑な規則に基づく構造があることを『野生の思考』『悲しき熱帯』で著した。

ミシェル・フーコーは近代以降の西洋文明社会における理性を基準にして無意識的に近代秩序から逸脱するものを狂気とみなして異常さを排除してきたと説いた『言葉と物』『狂気の歴史』『監獄の誕生』『性の歴史』を著した。(なお、フーコーは構造主義者と言われることを否定しているが構造主義者に分類されることもあるためここに記した)

分析哲学

ウィトゲンシュタインは『論理哲学思考』にて写像理論を唱え「語り得ぬものについては沈黙せねばならない」と説いた。これまでの哲学は語れないものを語ろうとしたため無意味だと考えた。

解析哲学の流れで感覚経験と論理分析を重んじる論理実証主義や科学哲学が生まれた。カール・ポパーは科学と疑似科学の違いを反証できることにあると主張した。

クワインは全体論(ホーリズム)を展開した。トマス=クーンは科学革命(パラダイムシフト)により科学は連続的に進展すると考えた。

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