『MBA言語化トレーニング』(島田毅)を読んだ感想。
ビジネスで必要な言葉をひねり出して組み合わせる最適な方法が学べる本、というと安っぽく聞こえるかもしれないが、とにかく具体的に書かれている。内容はわりと当たり前のことしか書かれていないので、リーダー向けというより、新米の人向けだと思う。ただ、自分の言葉がまっとうかどうかを見直すいい機会になる。
コンサルタント風の文章の書き方を学びたい人にも、一度読んでみる価値はある。どんな場面でも成果を出せる基本と応用の事例が豊富で、同じ手の本と比べても大差はないかもしれないが、それだけシンプルで誰でも使える内容になっている。
伝えたいことが曖昧で、人が思った通りに動かない、ということをなくしたい人にはぴったりかもしれない。
文章のテクニックだけに目が行きがちだが、「文章を読む相手がいる」という至極当たり前のことを忘れがちだ。ほんの少しニュアンスを変えるだけで、読み手の心をつかむことができるのに、私たちはそれをおろそかにしてしまう。だから、他人の評価で損をしないためにも、この本の内容は役立つ。
文章を少し変えるだけで、威厳が出たり人格が向上して見えたりする体験もできる。
あのリーダーについていきたいと思わせるシンプルな言葉遣いの事例も豊富だ。マーケティングにも使えるし、親戚のおじさんとしても好印象に映る言い回しが学べる。文章を整えるという視点で書かれているのも現代的で、時代を超えて役立つ部分がある。人を動かす言葉を言語化する、万能で標準的な一冊ではないだろうか。

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