『ブラックストーン・ウェイ』(スティーブ・シュワルツマン/熊谷淳子 訳)を読んだ。
PEファンドの王者が語る投資のすべてを知りたくて、たぶん図書館で予約したものだろう。
…なんで予約したのかはっきり覚えてはいないが、たぶんそんなところだろう。
スティーブ・シュワルツマンは頭がいいのは勿論のこと、母親譲りの野心家でスポーツマンで行動力あり交渉力があり人を集める組織人の顔も持っていた人物で相当すごい人だったようだが、はなにつくようなこともなく彼の破天荒な人生と哲学が淡々と書かれていて非常に読みやすかった。
彼の哲学はシンプルで「決して、損失を、出すな」――。これだけらしい。世界屈指の投資会社ブラックストーン創業者のあまりにシンプル過ぎる鉄則。巻末に仕事や人生に役立つ25のルールが書かれていて、これだけ読んでも役に立ちそうだ。
仕事や人生に役立つ25のルール
1.大きなことをするのは、小さなことをするのと同じくらい簡単だ。努力に見合う報酬を得られ、追いかけるに値する空想を追求しよう。
2.一流の経営者は生まれつくのではなくつくられる。彼らは決して学ぶことをやめない。大きな成功をおさめている人や組織に出くわしたら、くわしく研究しよう。向上の助けになる現実世界からの無料の授業のようなものだ。
3.尊敬する人に手紙を書くなり電話をかけるなりして、助言や面会を求めよう。どんな人が会う気になってくれるかわからない。重要なことを学んだり、生涯にわたって切り札となるつながりができたりすることもある。人生の早い時期の出会いは、ほかにはない結びつきを生む。
4.人間にとって自分の問題ほど興味深いものはない。他の人が何に取り組んでいるかを考え、助けになるアイデアを提案できるように心がけよう。どんなに目上の人もどんなに重要な人も、考え抜かれた内容であればたいていは新しいアイデアにも耳を貸すものだ。
5.どんなビジネスも、相互に関連する個別の部分からなる閉じた統合システムだ。優れた経営者は各部分が単独でどう機能するか、他のすべての部分とどう関わって機能するかを理解している。
6.情報はビジネスにおいても最も重要な資産だ。知識が増えれば増えるほど、より多くの視点をもてるようになり、競合よりも先にパターンや以上を発見する可能性が高くなる。新しいインプットに対して常に心を開いておこう。これは人にも経験にも知識にも言える。
7.若いうちは、学べることが多くてしっかり研修させてもらえる仕事につこう。最初の仕事が基礎になる。立派そうに見えるという理由で就職するのはよくない。
8.自己紹介をするときは、印象が重要なことを覚えておこう。全体として筋が通っていなければならない。きみが何者かを示すあらゆる手がかりを相手は探している。時間厳守。等身大で臨む。準備する。
9.どんなに聡明な人でも、ひとりであらゆる問題を解決することはできない。しかし、頭のいい人が大勢で素直に話し合えば問題を解決できる。
10.困難な立場にある人は自分の問題ばかりに目を向けがちだが、その答えはたいてい他人の問題を解決することにある。
11.自分自身のニーズよりも大きいものを大切にしよう。会社でも、国でも、兵役でもかまわない。自分の信念や価値観に突き動かされて挑戦することは、成功しても失敗しても価値がある。
12.自分の善悪の感覚から逸脱してはいけない。清廉潔白をつらぬく。小切手を書いたり自分の懐が傷んだりしない状況で正しいことをするのは簡単だ。なにかをあきらめなければならない状況で正しいことをするほうがむずかしい。常に有言実行を心がけ、自分の利益のために人を惑わしてはいけない。
13.大胆に。成功する起業家、経営者、個人は、いまがそのときだと思えばすぐに行動する自信と勇気をもっている。他の人が清朝な時にリスクを受け入れ、他の人が動けずにいるときに行動を起こすが、それを賢くおこなう。この特徴はリーダーの印だ。
14.自己満足してはいけない。なにごとも永遠はない。個人であろうと企業であろうと、自分自身をつくりなおし、改善する方法をたえず模索しなければ、競争相手に負けてしまう。とくに組織は以外なひど脆弱だ。
15.最初の売り込みで商談が成立することはめったにない。自分がなにを信じているからといって他の人も信じてくれるとはかざらない。繰り返し説得力のあることばで売りこむ必要がある。ほとんどの人は変化を好まないため、なぜ変化を受け入れるべきか納得をさせる必要がある。自分が欲しいものを求めることを恐れてはいけない。
16.大きな変革の機会を見たら、だれもそれを追いかけていないからといっても心配する必要はない。他の人には見えないものを自分だけが見ているかもしれない。問題が困難であればあるほど競争は限られ、解決できる人への報酬は大きくなる。
17.成功はまれな機会を生かせるかどうかがすべてだ。心を開き、よく注意して、いつでもチャンスをつかめるようにしておこう。ふさわしい人材と資源を集め、専念する。そのような努力をする準備ができていないのであれば、そのチャンスは思ったほど魅力的でないか、自分がそれを追求するのにふさわしい人間ではないかのどちらかだ。
18.時間はどんな取引も傷つけ、ときにはだいなしにすることさえある。待てば待つほど、待ちうける不意打ちも増える。特に厳しい交渉では、合意に達するまで全員をテーブルに縛りつけておこう。
19.決して損失を出すな! あらゆるチャンスについてリスクを客観的に評価しよう。
20.意思決定は準備ができたときにしよう。追い詰められた状態で意思決定をしてはいけない。まわりの人は自分たちの目的や内部の政治など第三者的な必要性から決断を迫ってくるだろう。しかし殆どの場合「もう少し考える時間が必要だ。また連絡する」と言えばいい。この戦術は、もっとも困難で不快な状況でさえやわらげるのに非常に有効だ。
21.心配することは、能動的に心を開放する働きだ。適切な方向に向けられていれば、どんな状況でもマイナス面を明確にし、それを避ける行動につなげることができる。
22.失敗は、組織にとっても最高の教師だ。失敗について率直かつ客観的に話そう。なにが悪かったのか分析しよう。意思決定や組織行動について新しいルールを学ぶことができる。しっかり評価すれば、失敗は組織のたどる方向を変え、将来的にさらなる成功につながる可能性を秘めている。
23.可能な場合はいつも10点満点の人材を採用しよう。10点の人材は、問題を見つけだし、解決策を立案し、事業を新しい方向へ向かわえることに積極的だ。彼らはほかの10点満点の人材も引けて雇う。10点の人材がいれば必ずなにかをつくりあげることができる。
24.いい人だと思う相手のなめなら、ほかの人たちが立ち去ってしまっても、そばにいてやろう。だれでも厳しい状況に陥ることはある。相手が必要としているときになにげなく親切にふるまうことは、人生の流れを変え、予期しない友情や絆を生みだすことがある。
25.だれにでも夢がある。ほかの人が目標を達成するのを助けるためにできることをしよう。
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