ま、よくよく考えれば当たり前な話ではあるのですが…人の生活にとって大切なことはなんでしょうか?
…と言っても、アバウトな問いになってしまうので条件を絞って質問しますが、それでは「衣食住のうち重要なのはどれ?」でしょうか?まあこれも、どれも重要であるのですが…普段あまり気が付かない盲点をあえてあげるのならばワタシ的には「飯(メシ)」だと思います。
清潔な衣類と温かい家も重要ですが、飯に関して言えばとりあえず腹が満たせれば良いと20代前半の時は思っていました。現代は人類が飢餓から開放されたと言われている言わば「飽食の時代」です。だから、食はおろそかにしても大丈夫とたかをくくっていました。
とりあえず栄養あるものを時々食べていれば大丈夫でしょ。
…でも、やってみると「そうでもない」んですよね。食べないでいると胃腸が悪くなります。便秘になったり痩せたり色々と弊害があるのです。じゃあ1日くらいなら絶食してもだいじょうぶか?と思ってやってみると、体調のサイクルは悪化の一途を辿るだけ。
で、荷物を極力減らしての山登りをやっていました。一番減らしやすいのは何と言っても食料です。水や装備は限界があるけど、食は簡素なものに限って、食べる楽しみを犠牲にすれば、軽くすることができます。それで、ピーナツだけにしてみたり、カロリーメイトだけにしたり、色々やってみたのですが、どうも腹が満たないし満足しない。そんな実験をしていたら乾物ばかり食べていたせいか終いには胃が痛むようになったり具合が悪くなったりで大変なことになりました。そのくせ腹が満たされた感じがしないんです。これは一体…?…で、分かりました。「1日に1回は何か温かいご飯を人間は食べなきゃダメなのではないか?」そうだ、それしか考えられない。登山の荷物は重くなるのですが、固形燃料と鍋とサトウのごはんを持って温めて食べるようにしたら、胃腸が痛くなることがなくなりました。そして、ご飯を食べ終わると少しだけ幸せな気分になるということに気がついた。ああ、この幸せな気分って、外界にいる時には当たり前すぎて気づいていなかった。わりとどうでもいいことだと思っていたが、この「幸せな気分」ていうのがあるから人間は生きていけるんだな。とやっと悟りました。
それまで、あたたかいご飯を食べるありがたさってわかっているようで分かっていなかったのですね。にんげっていいなって歌詞にも「いいないいな にんげんっていいな。おいしいおやつに ほかほかごはん。子どもの帰りを 待ってるだろな。ぼくも帰ろ お家へ帰ろ でんでんでんぐりがえって バイバイバイ」ってあるけど、この歌には人間に必要なものは温かいごはんと帰れるお家だって、私がいいたいことすべて書いてあります。私たちに必要なのは温かい飯と帰れる家なんです!
…まあ、全然この感動は伝わないと思いますが。。
いずれにしても温かいご飯が食べられるというのは、幸せ無いことであるし、人が生きていく上でかなり「ストレスの軽減」につながる効用があるんです。…それからというもの、面倒ではあるのですが、泊りがけで登山をする時は…昼は面倒ですが朝と夜はきちんと「温かいご飯を食べるようにする」これを心がけるだけでかなり快適な旅になることに気がつきました。
…それと夜に温かくて安心して眠れる寝床があれば、あとはどうにかなります。
シンプルなもので、人間それだけあればあとはどうにかなる。よくよく考えてみると外界でもそれは同じ。
アメリカ軍は日本と戦争していた頃から、軍事行動食は普段の生活と変わらない温かい飯を食うことにこだわっていた(その方が兵士の士気が下がらない)と言います。それに引き換え日本人は…まあ、基本的には飯盒(はんごう)で飯を炊いていたようですが。兵站の大切さをよく分かっておらず根性論でどうにかしようとしていた。インパール作戦にいたっては牛を運んでぶった切って食べたりしていたし将兵が「草を食えばいい」とかわけわからんことを言っていたようですが。これでは勝負に勝てないのは明白な気がします。
そういえば、自衛隊員の人とか体育会系の人はよく言いますよね。体調が悪かろうが食べる気分じゃなかろうが「食える時に食っておけ!」これは真理だと思います。食べておかないと動けない体が更に動かなくなることが多いと、経験的にも思います。実際に食べる機会を失うような苛烈な仕事をしている時もありますので…「食べる時に食べる」これは非常に重要です。例えば、メンタルに不調がある人は「食べない」「寝てない」人がいて、「食べられない」「寝られない」んじゃなくて、食べてないから寝れないという側面もある。無理に食べてよけいにダメになることもあるので一概に言えないと断った上であえて言えば、心身いずれに問題がある人はちゃんと食べるところから訓練して生活を立て直していかないといけないのではないでしょうか。
…というわけで、最後になりましたが、コスパ最強の「温かい飯」というものを最近になって発見しました。コストはたったの10円です。
オーツミール1Kg300円ぐらいで買えます。そのまま食べようと思えば食べられる、押しつぶして蒸されて乾燥したものを選びます。あとはインスタント味噌汁。12袋100円ぐらいで売っているマルコメ味噌のわかめ味。
30gほどカップに入れて水をひたひたになるくらいより少し多めにいれて600Wの電子レンジで1分10秒くらいでしょうか。チンする時間は好みによって違いますが、個人的には少し水多めにしたほうが、失敗が少ない気がします。温めるのが足りないとパサパサ感が残っておいしくない。だからといって温めすぎても柔らかくなりすぎてご飯感がしない。できたら水を好みで150CCいれてチンしてインスタント味噌汁をいれてオーツミールお粥の出来上がり。ま、人に薦めるほど美味か?と言われるとそこまでじゃないですが、これを1日3食でもけっこう行けそうだな―と思ったので。そしたら食費が1ヶ月で90食=900円。そんな切り詰めてどうするんだ?って感じではありますが、一人暮らしならありだなあと思います。
というわけで最強コスパのいい温かい飯でした。ー完ー
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