荻原博子の金銭感覚は、正直私には理解しづらいところがある。たとえば「貯金1000万ある人は競馬でも宝くじでもすればいい」と語り、ひろゆきにバカにされている動画がある。おそらくこの人のマネーライフプランは、長期的な資産形成というよりは、比較的短期的に「今をどう生き抜くか」に焦点を当てているのだろう。
私が常識だと思っていたものとは随分スタンスが違うので、必ずしも間違いとは言えないのかもしれない。ただ、投資をすべてギャンブル扱いする点などは解像度が低く、極端に過ぎると宗教的な印象さえ受ける。もちろん彼女はライフプランの専門家なので役立つ見解もあるし、それが万人向けということなのだろうが…。
たとえば「年金で生きていける」と言い切るが、それも条件次第だ。すでに年金をもらっている世代なら、月14万円ほどの手取りでもデフレ経済と持ち家があれば暮らしていけたかもしれない。しかし今後はより厳しくなるのではないか。
彼女の本を読んでいて印象に残ったフレーズがある。「あったら便利なもの」は「なくても困らないもの」である、という指摘だ。私たちの身の回りは便利なものであふれているが、それが生活を煩雑にしている。捨てるか迷ったものに対し「これはあったら便利なだけのものか?」と問い、そうであれば迷わず手放す。これを繰り返せば不要なものは減っていくのではないか。
結局、貯金1000万円あれば多くの急な出費には耐えられるという話なのだが…これもまったくもって完璧ではない。例えば災害で家を失う、働き盛りの夫が倒れて働けなくなる。これらは保険でも公的機関のサポートでも完全にはカバーできるとは言えない場合もある。でも、心配し過ぎても仕方がない。親族との関係を良好にして助け合うことなども一つのリスクヘッジという人がいるが、それはできる人とできない人がいる。
大切なのは「どうやって自分や身近な人の生活を守るか」を見直すこと。そして基本はやはり、支出を収入以下に抑え、少しでも貯金を積み上げていくことだと改めて感じた。
コメント