「プロンプトエンジニアリングを学習する意味って一般人にあるの?」と聞かれたことはないが、正直私自身この点には疑問がある。つまり、自信をもって「ある」とは答えられない。
世間では「AIを学ぶ」と称して教育商材が販売されているが、ああいう教材に本当にメリットがあるのかは分からない。Xでは詐欺的だと揶揄する人もいる。私もChatGPTと対話しながら使い方を学べば十分で、わざわざ高額投資する意味はないのでは?と常々思ってきた。
もちろん学ぶこと自体に意味がないわけではない。知らなかったことを知るのは確かに何事もプラスになる。LLMが文法的に文章を解釈・理解していないことくらいは知らないよりは知っておいたほうがいい。ただ、プロンプトテクニックを忙しい現代人が時間や費用をかけて得られるリターンは大きいか?と問われれば、私は「あまり大きくない」と思っており、この本を読んで「やはり」という確信を強めた。
プロンプトエンジニアリング学習の目的は主に2つだという。
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AIに適切な命令を与えて、望む回答を得ること。
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システム命令で制約を設定し、思い通りにAIをコントロールすること。
2は確かに技術的知識が必要になるが、1については結局「AIにどうお願いするか」という国語力がモノを言う。要はそれ以下でも以上でもない。もっと言えば国語力のためには、仕事に役立てるなら引き出しとして高い専門性も必要になり、結局は総合力がモノをいう。今のところ、広く浅く時に狭く深く考える、人間本来の力が不要になるわけがないのだ。
さらに言えば、プロンプトエンジニアリングそのものが進化する、というより、AIは進化が速いので、将来的に状況が変わる可能性は大きい。大事なのは、学習を続けてトレンドを追い、自分の周囲の問題解決にAIを使えないか考えることだし、さらに他人の問題をAIで解決し、マネタイズにつなげる行動も重要になる。そこら辺まで考えて先んじて投資するなら誰も止めない。
結局、コストと時間をかけてトレンドを追うのは、投資なのか趣味なのかビジネスなのか、境目のない興味本位の世界だ。そういう意味で、プロンプトエンジニアリングにのめり込む人を止める理由はなく、最後はスタンスの違いにすぎないのだろう。
ただ、「AIってよくわからないけど、学んだほうがいいの?」みたいな疑問をぶつけられたら、自分で調べて解消するきもたぶんあまりなさそうだし「学ばないほうがいいんじゃない?」って、とりあえず言っておきたい気分になる。
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