読書。萩尾望都『ビアンカ』読んでいる。

徒然草2.0

ネタバレあり。

…読んでいるって言っても、短編作品週の1巻だ。

萩尾望都の短編初期作品が収められている。

デビュー作の『ルルとミミ』『すてきな魔法』…漫画のテンポは絶妙でうまいが内容は子ども向けの童話みたいな感じで、このような話が続くなら読み続けるのはちょっと辛いと思い始める。

『クールキャット』SFチックさと音楽家の狂気というか不思議なテイストが変わってくる。手塚治虫の短編ぽさがあって色々な作品描けるのね。味変したので辛い気持ちは、たちまち消えていった。

さらにSFチックさを描いた『爆発会社』娘の恋愛という”劇場”のすべてはママ(大人)の手のひらで踊らされているという構図というか描写が好きだねこの人。

あえて世界を漫画と読者ではなく、そこに漫画という観劇ががあるようにして、1つ壁を挟むようにしている。

そして萩尾望都ワールドが極まってきた感じの作品が『ビアンカ』。短編で言い得て妙な感覚に揺さぶられる名作。両親が自殺した従姉妹と数日過ごして死ぬという衝撃的というか極めて人の生と死が鮮烈に主人公の視点から描かれるだけだが、20ページにも満たない短編で、この心を動かされる感じが出せるとか天才。漫画が上手い。

『ポーチで少女が子犬と』いまいちラストをどう解釈していいか分からなかったが、家族が少女の人格と感性を異常として扱う姿ということらしい(参考)なーんだ少女の人格と感性なんて所詮はバーチャルなものなんだと思ってしまった私は、結局のところ外側から見ていて指さす大人のひとりなのだ。

『ベルとマイクのお話』初恋いの微妙な話。ベルとマイクの恋愛をちょっとおにいさんのジョーととりまきとかが結びつけようとする、わりときれいなストーリー。

『雪の子』少年が少年を愛する姿を描いた、トーマの心臓を彷彿させる作品。悲劇なのに徹底して美しい。

『千本目のピン』すべてのお姫様が王子と一緒になれるチャンスだったのに…シンデレラっぽい寓話がモチーフの話。

…というわけで、多彩なジャンルの作品が編纂されていて、少年少女の世界観を描く萩尾望都ワールドがよく分かり面白かった。編者(ピックアップする人)がうまかったのかも。これなら全作品集楽しんで読めそうだと思えた。

『萩尾望都作品集1ビアンカ』はおすすめ。


ここからは余白に余談を書いているだけだが…少年愛って何だろう?300(スリーハンドレッド)という映画では、古代ギリシャのそれは全否定されていて現代的な価値観の押しつけだよなーと思ったが、それは現代的価値観で昔は日本でもわりと肯定的なものだったそうだ。

司馬遼太郎が描いた沖田総司も少年愛のそれだし「映画『燃えよ剣』の沖田総司で沖田オタクはすっかり気が狂っちまったって話」沖田総司のイメージって司馬遼太郎の発明だったのか。こんど『燃えよ剣』と『新選組血風録』を読んでみよう。

戦国時代には色小姓(いろこしょう)という男性の夜の相手をする少年がいたそうだし、寺や遊郭にもその手の少年がいて大人の嗜みとしての習わしとしては普通のことだったみたい。「参考:性病予防の為に色小姓が武将の性処理を行っていた

 

徒然草2.0
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