萩尾望都。永遠の『ヴィオリータ』を読んだ感想。
トーマの心臓に出てきたエーリクも実母のマリエに恋するマザコンだけど、マザコンなのに美しい恋のように描かれているのだが…男の目線からするとマザコンというものは、少年の成長過程では必要なものであるが、やがて当たり前に突き放して克服せねばならないものであり、友人・隣人のそれは男の幼さの象徴で冷やかしの対象にしか見えないのだが…ところが、萩尾望都によれば、マザコンは母への恋はその男の恋心の源泉であり、母とは別の女性への恋でもあり、娘への恋でもあり孫娘に対しての恋にも関係するものなのだ。そもそも、私には、そんな視点でとらえたことなかったなーと思って「発見」をした気分。こんなマザコンなら大歓迎(?)マザコン万歳!と言える世界を獲得した。
主人公のヨハンは”それ”を「ヴィオリータ」を呼び、それが時に母であり彼女であり孫であったりするが、いつも彼の手からすり抜けていく憧れの少女でもある。一つの固有名詞であるヴィオリータに集約させているところが面白い。
・ロバート・ネイサン「ジェニーの肖像」が元ネタではないかとのこと。
というわけでマザコンて主観的には基本的には嫌悪感しかないキーワードなのであるが、こういう作品にするのなら必ずしも否定的なものではないのね。
というわけで、大変勉強になった。
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