ネタバレあり。
まあ、古典名作なのでネタバレもなにもありません、というか面白いのは当たり前かもしれませんが。マンガではありますが読んでみてまず思ったのは…
人の感想はあてにはならない
ということ。
一体だれの感想文だったのか憶えていないのですが、誰かがゲーテの「若きウェルテルの悩み」を読んだ感想文に「若きウェルテルが暇を持て余して自殺する話だ」と言っていたのを読んで、そりゃつまらなそうだと思ったんだけど。
…それはそれで確かに外していないけど、そんな簡単に名作が説明できるわけもない。漫画通りの内容なのか本を読んでいないからなんとも言えませんが、シナリオに無駄がなく非常によくできていそうな話であることは伝わってきた。
非常に登場人物と人の内面をコントラストを添えて書き出している感じがしました。
これは実際に本で読むべきだ!と直感的に思いました。まずはマンガで簡単に読んでみて、気にったら原作を読んで見る!という流れが今の時代には合っているように思います。というわけで、このシリーズをどんどん読んでいこうと思います。
ウェルテルの恋愛観に立ち戻れる
恋愛などいふものは、ただの男女の色恋ごとだ、と年寄りが決めつけてしまっていては、その恋愛の尊い部分を過小評価し過ぎだと思います。
恋愛は尊いものです。夏目漱石の先生に言わせれば「罪」ではありますが。
まあ、いい恋愛というものもあるはずで、その純粋無垢の精神は何にもまさる強いエネルギーでもあるわけで、それを忘れちゃいけないなと思うわけです。
そういった気持ちも昔あったんだなとふと立ち返らせてくれる気がします。その部分のアップダウンのすべてをゲーテさん書ききっちゃったね!という感じ。ゲーテの悩みそのものを書いた作品だそうで、恋愛にまつわる人間の心の働きの共通項というかエッセンスがぎゅうと詰まっている感じがしました。
それは一体どういうものか?と言われると難しいので、とりあえず若きウェルテルの悩みを読んで下さい。意外に探してみると手軽に読める単行本がないんですよね。図書館に古いしなびた本がたまにあるくらい。
あまり手にとって気軽に読まれる作品ではないのかもしれません。
ちなみにこの本を読んだけど「よく分からない」という人がけっこういると思います。大抵は女性です(苦笑)もしかしたら、男にしか分からない世界なのかもしれません。というわけで女は読まなくていい、男は読め。
ウェルテルは作男のように闇落ちしなかった
若きウェルテルのもう一人の主人公は作男だろう。
女主人に対して、女主人の弟の策略により恋に敗れて、殺人を犯してしまう。
ウェルテルの自殺は悲劇だが作男のように人を傷つける過ちを犯さなかったという意味では、作男は闇落ちした敗者であったとしたら…ウェルテルはけして勝者とは言わぬまでも、けして堕ちたわけではなかったことには着眼しておきたい点である。
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