『カントの法論』中島義道をさらっと読んだ。
ニュートンの自然科学観とは違う視点で考えていたカントの哲学が学べる。認識のすべてを網羅しようとする試みのカント哲学は、「コーヘンのように、カントの無限小の議論のうちに微分法の思想を見出したり、マルチンのように「原則論」を「ニュートン物理学の公理化の試みとして評価したり、さらには、カッシーラーのように、カントの時空論のうちに相対性理論の萌芽を認めたり、ヴァイツゼカーのように、「第二アンチノミー」のうちに量子力学への基本洞察を試みることになる」ことは論理的に可能でもちょっとそれずれているよね。カントは素朴に自然科学を「ソト」と「ウチ」なる表象として分けて自然を身体的に捉えようとしたのではないか。
東洋の哲学に通じる話だね。
つーか、カントを読まずにラカンとかバタイユとかジジェクとかドゥルーズとか、現代思想、社会科学がよくわからない理由がちょっとわかった気がする。
『専門家の予想は猿にも劣る』を読んだ。
予想が当たるかどうか以前に私達は当たらない未来予想(ストーリー)を信じてしまうのはなぜか。
ディビッド・グロス「科学の最も重要な産物は知識である。しかし、知識の最も重要な産物は無知である」。知識は得れば得るほどに、私達が無知であることに気がつく。
…ソクラテスの無知の知だね。
カール・ポパー「「人間の歴史が進む道は、人間の知識の増加によって決定づけられる」と、ポパーは書いた。しかし、科学的な知識がどこまで増えるのかを予想する合理的な手段は存在しない。なぜなら、そうするためには将来の知識を知る必要があるが、もし知ってしまったら、それは将来の知識ではなく現在の知識になってしまうからだ。「したがって、われわれは人間の歴史の進む道を予想することはできない」」
…科学の進化は予想ができず、仮に未来の科学が分かるなら、現在は即未来になってしまう…まあたしかに。てか、カール・ポパーってまじめに勉強したことないけど、面白い人だよね。
ニュートン「星の動きは計算できる。しかし、人間の狂気は計算できない」
…バブルでお金を失った時の言い訳らしい(汗)
あとは、カオス理論にバタフライ効果、決定論と自由、そんな話が好きな人には向いている本かもしれない。分厚いが読みやすい名著だと思う。メディアが要求するのは、正確な予想ではない、という話もある。人は(当たらないのに)誰かが考え出した未来に乗っかりたいものだね。
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