2024/05/25。今日の学び
小野田敦『哲学嫌い』が面白い
この人の本はおそらく昔に読んだことがある比較文学者らしい。たくさんの本を大量に読んで斜め上から語ると、このような本ができるのだろう。そんな時間もないので、代わりにそのようなことをしている人の戯れ言を聞くのは楽しい。
例えば、実存主義が構造主義にとって代わるのはよくわからん。という主張には共感する。この哲学の教科書に書いてあるよく分からなさについては自分なりに調べたが、やっぱり分からなかった。ニューアカブームが過ぎ去った後に燻りながら『野生の思考』や『嘔吐』を斜め読みしてみたりもしたが何も得られなかった。とりあえずサルトルは構造主義にはグウの音もでないというようなことを言っただけに過ぎないではないか。ハイデガーに至っては自身を実存主義と思っていないしサルトルなんて相手にすらしていなかったのでは。
とりあえず世にある哲学の教科書っていい加減だし、ポストモダンの哲学がよくわからんのはそういう作りになっているからで、別に気にする必要もないんだな、ということが分かった。
信長は宗教者を何千人、何万人と暗殺したのか?
井沢元彦によると信長は宗教対立を止めた人であるらしい。異端と異教は違う。異端は同じ宗教だが考え方がおかしい人、異教は違う宗教の人。世界的に宗教は異教よりも異端を厳しく罰した。信長は宗教の自由を認めるが人殺しを辞めろと言っていただけ。延暦寺や一向宗は信長が倒したが、東本願寺は天皇をたてて和睦した記録が残っている。
・比叡山延暦寺の焼き討ちは女や子どもも殺したがゆえ、信長の残任さを物語る証拠にされてきたが、もともと堕落した集団だったため後世では解釈が見直されてきている。
・肯定派と否定派と意見は分かれるが、信長自身は仏教の宗派にあまりこだわりはない(浄土真宗ではあるが、法華経の戦旗なども見つかっている)。
手塚治虫「レモン・キッドとメロン・キッド」を読んだ。
ネタバレあり。南北戦争中のアメリカ。ドッジシティ。西部劇の町として有名。ドッチ砦(Fort Dodge)というものが現存しているらしい。お尋ね者メロン・キッドに腕のいいガンマンに育てられたレモン・キッド。メロンの作為でシェリフ(保安官?)にされて、自分のようなお尋ね者にならないようにレモンに真っ当な道を歩ませる。メロンがお尋ね者になったのは奴隷の母を痛めつけたベッドに対する復讐という事情がある。話の最後はメロンはベッドに復讐を果たし、レモンがメロンを(不可抗力だが)撃ち倒す。レモンが嫁さんを貰い、ハッピーエンド。
話の流れは、レモンとメロンの決闘→レモンの回想(メロンとレモンの関係性が明らかになる)→レモンとメロンの決闘というふうに一巡して、エンディング。現時点→回想→現時点という展開わかりやすくていいよな。
手塚治虫「珍アラビアンナイト」を読んだ。
ネタバレあり。抜作のホテル・ボーイが誤って客の魔神のランプを使って王子と姫を引き合わせるお話。話は全体的に夢オチ(ボーイの夢)だが最後は、ホテルでこき使われたシンデレラ(あだな?)が誘拐された王族の娘だと分かってハッピーエンド。姫様が奴隷商になり王子に救い出される話はボーイの夢だが、別人ではあるが現実世界で奴隷状態の姫(シンデレラ)が王子と結婚して幸せになった話とリンクしているので、結果的には夢が現実になった。全体的にディズニー映画っぽい。王子のネズミ(パール)と敵の魔女はクロネコの戦いはトムとジェリーっぽい。すべて夢だけど結果的に現実がハッピーになるのもアメリカ映画っぽいので、そのへん意識して描いたんだろうか。
読者視点では、現時点→夢→現時点、という話の流れなので「レモン・キッド」と似ていなくもない。
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