「Sler」って? SIerの誤解と今後の話
「SIer(エス・アイ・アー)」を「Sler(スラー)」だと思っている人が、IT業界の中にもいるようです。そんな間違いをする人もいるんだな……と思う一方、自分がたまたま間違えなかっただけなのかもしれない、とも思います。
さて、SIer業界では統廃合が進み、企業が自社でエンジニアを雇用する動きが以前から見られます。しかし、私はSIerは「絶対になくならない」と考えています。
SESとSIerは厳密には同じではありませんが、似た構造を持っており、顧客がいて需要がある限り、その存在は続くでしょう。その需要の背景にあるのは、労働基準法によって人材を安易に解雇できない現状です。このルールがある限り、ソフトウェア業界の構造は大きく変わりません。
仮に将来、法律が変わって雇用規制が緩和されれば、業界の構図は一変するかもしれません。「みんな正社員」から、「実質フリーランス」や「派遣社員」に近い状態になる可能性もあります。ただし、それは経営者にとって「簡単に解雇できる」という意味合いでしかないかもしれません。
そうなったとしても、必要な人材を確保・管理するための組織は依然として必要です。つまり、SIer的な機能を持つ集団は形を変えても残るということです。もしかしたら労働組合みたいなものになってしまう可能性はありますが、
このように、産業構造や契約形態に問題があるという声はありますが、現実的には「労働法が大きく変わらない」ことを前提として動くしかありません。
ITエンジニアは、どこにいればいいのか?
個人のエンジニアとして「どの立場・場所に身を置くべきか?」という問いも、業界構造と切り離せない問題です。
建前としては「技術力があればどこでもやっていける」という意見に私も同意します。しかし実際には、その技術力を客観的に証明する基準はあいまいです。他者の評価に委ねることになるため、評価されるには分かりやすい「経歴」や「実績」が求められがちです。
たとえば、「有名な情報系大学出身」「メガベンチャーで責任者を経験」「スタートアップでCIOを務めた」といった経歴がないと、キャリアとみなされにくいという現実もあると感じています。
まとめ
このように、SIerの未来と個人のキャリアは、法制度や評価の仕組みと密接に関係しています。その中で、柔軟に立ち回れるよう知識と視野を広げておくことが大切だと感じています。
こういうの読んでいるが⋯中間管理職の嘆きに見える「中堅独立系SIerで10年働いて分かった、これからの生存戦略を本気で考えてみた」技術力を個人的に高めていればなんとかなるよね、って書いてあるだけで、技術は組織的な問題ではなく個人の問題だと言っているに等しい。
組織の問題と個人の問題に還元されて何が最適解なのか「誰も分からない」ので、この2つの社会的な問題にあれこれ言ってもしょうがないという達観なのか諦念なのか分からないところで悶々とせざるをえないのが業界人である。
で、商売人なら客のことを知って、職人なら己のことを知って、売り物のサービスを磨くしかないではないかという、月並みの結論に至ります。
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