哲学で言われる「自由意志」は、今では哲学でも脳科学でも否定されつつあって、「じゃあ私たちには自由意志なんてないのか」と思いがちだ。たぶん、それは事実なのだろう。そうなると、人権や個人という概念まで空っぽに聞こえてくる。しかし、自由意志がなくても、「意思」や「目標」を持って、自分の心身をより良い方向へ運び、自分らしく生きることはできる。むしろ、それこそが「生きる」ということなのかもしれない。
とはいえ、自由意志がないと分かると「結局何をしても無駄なのでは？」と感じるのは私だけだろうか。もともと人生を無駄だと思いこんでいるところがあるので、ただ「無駄」と言いたいだけなのかもしれない。結局のところ、自由かどうかよりも、「意思」と「目標」がないと人は簡単にダレる。だから無駄でも無駄なりに、目標を立てて動かないといけない。
石原慎太郎が80歳で「50歳が最後の立て直し時期だ」と言っている動画があった。ソースが不明だが…。５０代になったら体から出るシグナルを無視せず、外で太陽の下を歩き、自分にとって大切なこと＝心が動かされることにお金を使えば、80歳を幸せに迎えられるという話だった。なるほどと思う部分もあれば、すべてには共感しない部分もあった。石原慎太郎自身は忙しすぎて、そうしたことが自由にできなかったのだろうか。
40歳は50歳の準備期間で、20代・30代の答え合わせの時期。50歳は老年期に向けた最後の調整段階。共通して言えるのは、「気を抜くと簡単に落ちていく」ということだ。かといって若いつもりで無茶をすると、それはそれで落ちる。理想と現実の間で折り合いをつけつつも、まだプラスアルファを出せる、そんな時期なのだと思う。
焦っても何も変わらないけれど、やるべきことをやらないと途中で詰む。詰んで頓死すればまだいいがダラダラ生き続けるのは自分も周りもしんどいので避けたい。逆に適切な「目標」をもって行動すれば、60代・70代は意外とスムーズらしい。そして80歳になってようやく「いい人生だった」と振り返れる――80歳は、人生の白黒がつきながらも、まだ自分の意志で動ける時期なのだという。
そう考えると、日々身体を動かし、不足を補い、現状維持＋アルファを続ける必要がある。人生は短いし、家康の言うように重い荷物を背負って歩くような感じがする。「意思」や「目標」を決めるのは誰でもできるが、それを続けるためには何が必要なのか。気を抜けばすぐに崩れる。おそらく、誰にでも一定の効果があるのが「読書」なのだと思う。自分の意思を固めるために、必要な情報を継続的に取り込むこと。論語でいう「四十にして惑わず」「五十にして天命を知る」という境地なのだろう。
私自身、本当に分かっているのかはともかく、確かに迷ってはいない。やることははっきりしている。ただ、人生を完全に理解した感じはしない。
そういえば、株クラ界隈で「50代になるとFIREと言わなくなるのはなぜか？」が話題になっていた。たぶん、50代になると、これまでの努力や早期退職、あるいは遺産などで自然とFIRE状態に入る人が増えるのと、そもそもそれは結果論であって目標としての「アーリー」リタイアではないからだろう。私自身も50代で仕事を辞められたらいいなと思う反面、なんだかんだで70歳まで働くのではという気もしていて、定まっていない。
それで経済的な自由になったら何やるの？ってことだけど「好きなことで生きる」と言いたい気持ちはあるけれど、それがあるような、ないような、なんとも言えない状態だ。たぶん時間をかけてやってみたら、「そんなものなかった」というオチになる気がしている。
オチがよく分からなくなってきたけれど、結局、40代に必要なのはこの2つだけだと思う。
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体を動かして心を整えること。
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目標を持ち、不足を埋め合わせること。
これだけで精一杯だし、これ以上を求めるのはたぶん無理。さっき「＋アルファを」と言ったけれど、私が周囲を見た限りでは、40代で本当にプラスの新しい項目を積める人はごく少数。新しいことを身につけた人は、もともとそういう適性があったか、あるいは時間を異常にかけられる環境にいた人だけ。普通の人にはまず難しい。
芸能人が大学に入り直した…なんて記事を見ると、「自分もできるかも」と一瞬思うかもしれない。でも現実的には、20代や30代のように一気にリカバリできる時間もお金も、もう確保がしづらい。何年かかっても実現するんだというなら勝手にすればいいが、基本的にどうあがいても、同じようにはいきません。
だから、40代は「雨漏りしている部分」や「これから雨漏りしそうな部分」を一つずつ補修していくような感覚のほうが正しい気がしている。無理に新築を目指すのではなく、今ある家を丁寧に延命していくような、そんな生き方がちょうどいい。
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