戯言|東夷朝目(とおいあさめ)

徒然草2.0
Side view of group of multiethnic people protesting outdoors with placards and signs. People shouting with banners protest as part of a climate change march. Protestors holding worker rights banners at protest.

高市早苗の国会での“存立危機事態”発言は“米国が攻撃された場合”を念頭に置いた文脈の話で”台湾が攻撃された場合”の話ではない。しかし朝日新聞の速報が“(存立危機事態であれば)武力行使もあり得る”とだけ切り取った結果、薛剣(せっけん)駐大阪総領事がそれを“宣戦布告”と受け取り、『勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない』と拳を振り上げる…という、なんだかもう混乱した流れになってしまった。

その背景には、中国側の“日本の帝国主義が再来し、台湾を植民地支配しようとしている”という反日的な構図があるらしく、中国国内では“日本旅行は危険だ”という空気が広がり、中国人旅行者が一気に渡航を控えるようになった。しかし日本側にはそんな意図はまったくないわけで、両国で温度差があまりにも大きい。

とはいえ、そうした誤解や過剰反応があったからといって、日本の政治家が自分の発言を引っ込める理由にはならない。かといって、あえて逆撫でする必要もない。このあたり、どうコミュニケーションをとるのが最善なのか、本当に判断が難しい。いろいろな立場の意見を見ても、どちらかに振り切れば必ずメリットとデメリットがあるように思えてしまう。

たとえば内田樹なんかは“高市は退陣せよ”という中国寄りの立場をとっているが、その“謝っておけば丸く収まるでしょ”という姿勢は、リベラルっぽく見えて、逆に中国を“外側の理解不能な相手”として扱っているようにも感じられ、何とも複雑だ。

中国は中国で、すでに経済大国なのだから大きな虎のようにどっしり構えていればいいのに、外に敵を必要とする事情があるのか、どうにも身動きがとれない構造が続いている。SNSの投稿までトップダウンで動いているという話もある。中国主要メディアでは“琉球は日本のものか”“国連安保理の許可なく敗戦国の日本は攻撃可能”などの物騒な論調が頻繁に出ていて、こちらもこちらなら向こうも向こうだ、という気分になる。

日本としては、ツキノワグマとヒグマの対応だけで手一杯で、モノクロのパンダを借りる余裕なんてない。いっそ全部返していいのでは、と思うほどだ。ほんと、のんきなことを考えてしまう。

台湾有事が起きれば日本は食料の面で打撃を受け“飢える”という懸念もあるが、軍事シミュレーションでは“現在の中国では台湾を落とすのは無理”という結論が多い。昨日はキングダムのアニメを見ていて、“日本=李牧率いる趙、中国=昌平君率いる秦”と見立てると、日本が奇策で短期決戦に出る筋もゼロではないのでは…と、漫画の見すぎかもしれないがそんな妄想も浮かんだ。

逆に、日本の経済政策が大失敗して急激に国力が落ち、軍事力も低下し、それに引きずられて米国まで転げ落ち、レアアースを握る中国・ロシアのパワーが増せば、一気に状況が変わる可能性もある。あれこれシミュレーションしてしまう。

まあ、結局のところ“何も起こらない”のが一番いい。とりあえず備蓄でも進めておくか、という気分でいる。

徒然草2.0
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