一般的っていうのが全体の何割から一般的になるのか定かではないのですが私の感覚的には3割以上ですかね?3割のサラリーマンが副業する状態になるか?というとさすがにならないのではないか。というお話です。
私は以前、パラレルキャリアや複業、フリーランスという働き方が流行し、それに乗ってノウハウを販売していた時期もありました。そして実際に私のフォローによって、それによって望んだキャリアやライフスタイルを手に入れた人も多く存在します。私自身もそれを実践していた一人で、複業を通じて感じたメリットもあれば、当然デメリットもありました。
最近ふと、「複業ノウハウをアップデートして再販したいな」と考えることがあります。ただ、そう考える一方、この業界?には“まことしやかな嘘”もあるのではないか、という感覚もあります。
その一つが、「副業や複業は誰にでも、どんな仕事でも一般化できる」という前提です。
現実には、副業や複業が成立しにくい仕事もまだまだたくさんあります。
たとえば、フリーランスの代表格であるITエンジニアは、確かに時間を切り売りしやすい職種ですが、プロジェクトに一定期間参画して、クライアントの期待する成果を期日までに出す必要があります。つまり、自分で自由に働く時間を選べるとは限らないのです。
「リモートワークに加えて、農業にも挑戦したい」と思う人もいるかもしれません。しかし農業もまた、作物や地域によっては特定の時期に一定の時間を拘束される労働になります。
ITプロジェクトにもスケジュールがありますし、農業にも季節性があります。どちらも「決められたタイミングで働かなければならない」ため、実はこの2つの組み合わせは非常に相性が悪いのです。
「農業の閑散期にソフトウェア開発をして生活費を稼ぐ」などと考えたこともありますが、これは現実的に成立しにくいと感じました。
もちろん、うまくハマる複業もあります。たとえば私の場合、ITプロジェクトに参加する傍ら、夜にプログラミングを教えるという組み合わせは相性が良かったです。ただし、プロジェクトが佳境に入ると、教える余裕がなくなり、大変になることもありました。
もし家族がいれば、家庭のことに時間を割く必要もあります。
たとえば、ビジネス翻訳者が休日に観光地でガイドをするという複業も、一見よさそうですが、同じように時間の重なりや体力面の問題でうまくいかないことが多いのではないでしょうか。実際にやっている人に本音を聞いてみないと分かりませんが、それなりのタフさが求められるのは間違いないと思います。
そして、複業における最大のボトルネックは、「複業の中でも副業はあまり儲からないことが多い」という点です。
逆に言えば、もし副業で安定的に収入を得られるなら、それを主業に転換すればいいだけです。しかし、それが実現できる人はごく一部に限られます。
多くの人は、あまり儲からない複業を組み合わせて働くことになります。それならば、主業一本に集中したほうが、結果的には経済面やライフワークバランスの面で効率が良いというケースも多いはずです。
TikTokなどで仕事内容や給与明細を公開している人を見ていると、サラリーマンや経営者を除けば、「小銭稼ぎでその日暮らししている人」か「短期間で高収入を得ている人」に分かれます。
ただし後者は、特殊な事業や仕組みを持つごく一部の人たちで、実質的には経営者に近い立場です。
そういった働き方を真似しようとするのは、あまり現実的ではないでしょう。
結局のところ、主業が高収入になるのは「時間的拘束」があるからです。今後AIの進化によって、その拘束が安価に置き換わっていくと、人はより多く働かなければならなくなるかもしれません。
それは、経営者にとっては都合がよくても、労働者にとっては賃金の上昇が見込めず、ディストピア的な未来と言えるかもしれません。
今と同じように「時間的拘束=高単価」の構図が続くならば、やはり複業は「大変な割には儲からない」という結論に落ち着く気がしています。
さらに、日本では所得が増えるほど社会保険料や税負担が重くなり、稼げば稼ぐほど手元に残る利益が減っていくという構造もあります。そのため、高い負荷をかけて働くこと自体がバカバカしく感じられる瞬間もあるでしょう。
ですから、「副業・複業がこれからの当たり前」といった流行の文脈には、ある程度の懐疑心をもって接するべきです。
特に若い人(に限らず誰でもなのですが)、それが本当に自分にとって意味のあるものなのかを冷静に考え、生活に無理なく組み込めるかを見極めることが大切です。
とはいえ、新たな複業に挑戦すること自体は、未知の世界に飛び込む勇気ある行動でもあります。あまりに細かいことを気にしすぎて、挑戦そのものを止めてしまうのももったいない。
大切なのは、夢を見すぎた無謀な計画ではなく、リスクを見据えたバランスの良い設計になっているかを自己点検すること。もし一人で難しければ、話が分かりそうな人に相談するのが良いでしょう。
【結論】
「多くの複業する時代になる」というのはおおげさである。多くの人は主業のみでOKだし、そうじゃない社会はディストピアだろう。私たちは、あくまで自主的に自分の生活を良くするために複業にとりくむべきで、自分でライフワークバランスがとれているか不安な場合は、客観的に自分の状況が見える人に相談したほうがいいだろう。
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