ソフトウェア開発の現場でよく登場する「ドメイン駆動設計(Domain-Driven Design)」──略してDDD。
最初これを聞いたとき、「D」は“Development”の略かと思っていましたが、実際は“Design”なんですね。つまり「設計」なのです。
そうなると、日本語の「ドメイン駆動“設計”」という訳に少し違和感があります。
「設計」と訳すことで、何だか“手法”や“技法”のように捉えられがちですが、DDDにはもっと広い意味合い、つまり設計を超えた思想や哲学的な側面も含まれていると感じます。
そうとらえると、いっそ「ドメイン駆動デザイン」とカタカナのまま表現したほうが、その柔らかいニュアンスや広がりを保てるのではないでしょうか。
かつて私は、DDDを「オブジェクト設計の一種」だと考えていました。
しかし、改めて調べてみると、単なる技術的な設計手法ではなく、組織の知識や業務構造をどうソフトウェアに取り込むかという考え方であると理解しました。
また、“ドリブン”を「駆動」と訳すのも少し工業的というか、無機質な印象を受けます。
「ドメインにより動かされる設計」くらいの方が、まだ本来の意味に近いのかもしれません。ただし、今度は抽象度が高くなりすぎて、かえって意味がつかみづらくなります。「ドメインって何?デザインって何を指すの?」という疑問も出てきます。
ドメインとは、**ドメインモデルという形で明確に定義される「業務領域の知識構造」でありそれをユビキタス言語(共通言語)**によってチーム全体(開発者と業務担当者の両方)が共有すること。
このように整理すると、DDDとは「その共通理解をソフトウェアに落とし込むためのアプローチ」と言えるでしょう。
「ドメイン」という言葉を日本語に直訳すると「領域」や「分野」になりますが、ここでは業務知識そのものと捉えたほうがしっくりきます。
それをふまえてあえて“ドメイン”と“デザイン”をより親しみやすい表現に言い換えると、
「みんなのお仕事(=ドメイン)によって動かしていく考え方(=デザイン)」
といった感じになるでしょうか。少し幼稚な印象があるかもしれませんが、本質を言い当てている気もします。
つまり、業務の本質をちゃんと理解し、それをソフトウェアに反映させようとする考え方。
その結果として得られるのは、ビジネスとシステムが一体化した、高い柔軟性と保守性を持つソフトウェアです。
以前、ChatGPTに「DDDを一言で日本語にして」と聞いたところ、
「現場の業務をそのままソフトウェアに落とし込むための考え方」
という答えが返ってきました。まさにその通りで、本質を突いた言葉だと思います。
ただし、こうした概念は他者の言葉だけで納得するのではなく、自分の中で一度バラして再構築してみることも大切だと改めて感じました。
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