親戚のおじさんとか近所のおにいさんが触っていた、あの得体のしれないおもちゃが欲しくなる男の子の病というものがある。
フィジェットトイというものの広告を、最近よく目にする。昔から似たようなものはあったが、今流通しているものの多くは中国系の製品なのだろう。
金属製で、カチャカチャと音や手応えを楽しむタイプが多く、価格は数百円から、高いものでは1万円近くするものもある。買ったところで、遊ぶのはせいぜい数十秒。理性では「すぐゴミになる」とわかっているので手は出さないのだが、それでもなぜか欲しくなる。
フィジェットスライダーと呼ばれるものは、基本的には二枚の金属をスライドさせるだけの構造だ。しかし、バタフライナイフを扱うかのような、もしくは、ジッポライターの蓋の開け閉めする動きができて、その操作感の小気味よさが魅力なのだと思う(あくまで推測だが)。
インフィニティキューブは、一つの立方体が次々と形を変えていく。そのプロセス自体を楽しむおもちゃで、どこかトランスフォーマー的な感覚があり、つい触りたくなる。
絶対に必要ではないが、ちょっと触ってみたくなる。この「いらないけど触りたい」という感覚こそが、フィジェットトイの本質かもしれない。
中国の健身球(鉄球)は、歴史あるフィジェットトイの代表格だろう。ただ、屋外で使うと飛ばしてしまいそうなので、今は100円ショップの「ニギニギするやつ」で我慢している。本当は100種類くらい集めて、その日の気分で選びたいところだ。
本来、ニギニギ系は握力強化や手のひらのツボ押しが目的で、フィジェットトイとは用途が違うのかもしれない。ただ個人的には、その境界をあまり厳密に区別していない。
最近では、ハンドスピナーを土産物屋や玩具店の軒先で見かけることもあり、静かなブームは続いているのだろう。これも広義にはフィジェットトイの一種だと思う。
「手でカチャカチャやるなにか」というジャンルは、形を変えながら進化し続けている。
ネオジム磁石と、(最近高騰している)シルバーを組み合わせて、資産価値もある磁石玩具を作れないだろうか、などと考えることもある。以前、シルバー製ヒートシンクを売る商売をやろうか迷っていたが、今やっていれば在庫価値が5倍になっていたかもしれない……というのは、ただのぼやきだ。
「ゴミになる」とは言ったものの、フィジェットトイにはさまざまな可能性があるとも思っている。
小型のルービックキューブや知恵の輪のようなものは、フィジェットトイの一種とも言えるし、これらは明確に頭の体操になる。両端に重りのついたペン回し系の玩具は、人前でテクニカルな動きができれば少し格好いい。手品に応用できそうなものもある。
自動車のギアレバーを模したものは、マニュアル操作が好きな人の心を確実にくすぐるだろう。
三節棍やミニガンを模したタイプは、完全に玩具ではあるが、武器的なフォルムがミリタリー心を刺激する。発想次第では、護身グッズ的な方向に昇華できなくもない気もする。

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