戯言。映画『ホワイト:キューブ』を見た感想。人体実験の意義と良心の呵責のジレンマ。

徒然草2.0

ネタバレあり。

概観

英国の未来、いや人類の未来というべきだろうか。それを密室(ホワイト・チェンバー)のみで描いた話…ってところかな。

人には勧めないし世間の評価も低いだろうが、この手の政治的かつ民族的な内容をストーリーに盛り込むのはきらいじゃない。むしろ好む方だ。俳優も演技が美味いと思うし、全体的によくできている。

ザカリア将軍「戦いが終わった時に残るのは勝者ではない生存者だけだ」が映画を低通するテーマかな。絶望的な紛争状態にある英国の話だが、私には意外にも性善説を描いている作品というふうに眺めていた。

化学兵器開発のため人体実験を行う研究者クライスラー博士と、ハラブジャのクルド人の革命指導者のザカリア将軍の対立を中心に展開されていく。

ただ、自分の理解が合っているのか自信はないが、テーマはかなりはっきりしていたし、内容がはっきりしていたと思った。

謎が謎で終わる方向へ逃げなかったところが、評価できるポイントだ。監督が遊びすぎると映画はダメになる。映画CUBEとはまったく毛色の違っており、かなり内容がハッキリとした話だった。

でも全体的に驚くところはなく、だいたいどんな終りか途中で分かるし、山場はない感じだった。

つーわけで、☆☆★★★かな。(そんなに評価は高くない)ただ、すぐに内容は忘れると思う(苦笑)。

不明点

・ルース(アラブ人?)は人種の壁を超えて英国政府のために働いているが、最初から人体実験に乗り気ではなく優秀な人に見えない(苦笑)。こいつがきっとホワイト・チェンバー内のザカリアを逃がすんだろうと思ったら、だいたい案の定そうなった。クライスラー博士が被害者兼加害者であるなら、ルースは温室育ちの秀才で身内が戦争で死んでいないことから、”紛争のない国で生きている私達”と捉えればいいのかもしれないが。反政府分子になりうる研究者としてこの手の研究所に配属されてないような(汗)。

・ザカリア将軍(弟)…クライスラーの旦那(黒人)のことを覚えていた。この人はザカリア将軍(兄)の影武者かなんかだったのだろうか?とりあえず、アルゴという科学兵器の実験台にされて映画では狂人扱いだが、革命家として兄と同様に人間性が優れた理想主義的な善い人なのだろう。ただザカリア将軍(兄)のほうが現実主義者であり残酷なのだと思う。本当に残酷なのは英国政府であり、それに翻弄されているだけなのがクライスラー博士ということになるのだろう。

まとめ

英国の多民族主義国家としての取り組みは、アフリカや中等の植民地支配の反省に基づくものであり、その背景には非人道的な化学兵器の使用などがあるのだと思うが、そのへんあまり知識がないためもう少し勉強してからのほうが感慨深い映画になると思った。

・ザカリア将軍がイラクのハラブジャのクルド人…というのは、サダム・フセインが化学兵器を使用して家族が殺されて戦争孤児・難民になったことを意味するのだろう。

・シエラレオネの少年兵(シエラレオネ内戦)…というキーワードが化学兵器の話で出てきた時に印象的だった。シエラレオネと言う言葉をはじめて聞いた。過去に内戦があったアフリカの貧しい小国とのこと。ズール族が使う化学薬品の話もあったが(ズールー戦争)いずれも英国が関与している。

徒然草2.0
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