いつか読もうと思って、なぜか最後まで読まないでいた。
エゴイズムだの個人主義だのボーイズラブだのなんやかんや言われている作品だけど、そんなの読む人の切り口次第じゃないかな。
読み進めていく過程というか流れに沿って、前半は私と後半は先生のこころの動きをなぞっていくという、いい例えが思い浮かばないが少女漫画みたいなもので、それ以上でもそれ以下でもない。
ストーリを知ったうえで思い出したように読んで何度か手にとって読めばなにか発見があると思うが、まあでも、おもしろくはあるけれど、そこからなにか教訓になるものをひねり出すのものでもない。流れ(ストリーム)を拾って感じるままに読めばいいもの。
…だってこれ新聞に載っていた連載小説でしょう?
毎度次が気になりあれこれ妄想しながら読んでいく。
私もそうだし読者は第三者になって覗き見をしている。
先生とかKとかどんな人だったのか?とか気になりながら、
最終的には読者自身が己の心に向き合う。
他人の感想を聞いてあれこれ考えるよりも、
まずは自分で読んでみるしかない作品の1つ。
もっと早く読めばよかったし、なんなら別に読まなくてもいい。
と、だいぶサゲた言い方になったが面白かったし夏目漱石の小説は好きだ。
また時間をおいて、少しずつ気になったところをピックアップして考えてみたい。
ただ、よくわからないところは、考えてもしょうがないと言ったらあれだけど、
そういうものだと割り切る話なんじゃあないかなと思う。
乃木希典が死んだ理由も分からない(戊辰戦争のときに錦の御旗を奪われたことをずっと心残りだったのだという)のと同様に先生やKの死因は分からなかった。
『精神的に向上心のない者はばかだ』とつぶやいてみても全然分からぬ。
わたしはエゴイズムに染まってしまったのか。
恋愛の神聖さに鈍くなったのか。いやー、先生はただのナルシストだろう。。。
どうするよ「私」この先生の手紙を墓場まで持っていかないといけないの?
「自由が来たから話す。しかしその自由はまた永久に失われなければならない」
困った先生。
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