表題の件「マーケティングの怠慢」について話をする前に、プログラミングを教えるということを5年以上とりくんできて思ったことを書いておきたい。プログラミングを教えるサービスに限らず、世の中の問題についてのサービス・ソリューションはこの3つのどれかに当てはまり、また表題の件にも共通で言えることでもある。だから、プログラミングの初心者がプログラミングを学ぶことについてふれておきたい。
…ちなみに、プログラミングを学ぶ方法は大きく分けて3つある。
自分でどうにかする
1つ目は独学。プログラミングがわかる知人がいて、ときどきディスカッションさせてもらえればなおいいが、そんな都合がいいことはあまりない。基本的に問題にぶちあたったら、自分で解決しなければならない。これは万人向けの学習方法ではない。
分からないことがあったら、そのつど分かる人に聞く
2つ目はチケット制のサービスを利用しての学習。個人的にはコストの面においてはこれが間違いない気がする。基本的に学習は独学だが、独りでは解決できない問題や手厚いフォローが必要な時に、プログラミングが分かる人に個別に1時間3000円前後で依頼するかたちをとる。
ただこれには欠点があって、講師の当たり外れがあってお金と時間を無駄に消費してしまうことがある。また、全体的に学習する方向が間違っている場合、軌道修正が難しいこともある。具体例を出すと長くなるが、チケット制は講師の側からしても面ではなく点(ポイント)でしかフォローできない歯がゆさが残る。
広く浅く体系的に学ぶ。
3つ目はスクーリングによるトータルサポートを受けること。お金がある人には間違いない選択かもしれないし品質が一定レベルは担保される。しかし、高度な専門性が得られるかどうかや、自分に合っている選択かどうかは保証できない。悪く言えば金太郎飴的な発想に過ぎないと割り切って利用すべきだ。
多くの人はこのサービスを過大評価するが、中の人からするとこれがベストソリューションといえるのかは甚だ疑問。ただし、このようなトータルサポート、トータルサービスがあるからこそ、夜の中の分業がうまく回っていると言うこともできる。
結局、儲かる商売をしている人は2ではなく3の分野で商売している事が多い。スタッフはそこそこ安定して儲かる。まあ、ビジネスオーナーが儲かるだけではあるが…。
ただし、これからの世の中は3よりも2の方が成長してくる気はしている。(個人的な期待)
結論
サービス提供者とサービス利用者の視点が混ざった言い方になったが…利用者の観点から言うと、ある問題を解決するにあたって、どの解決方法をとるのがベストということはないのだ…と言いたい。
右も左も分からない人は、3をとるべきだということになる。
コストを抑えたいとか自分である程度できるようになりたいとか、そういうこだわりがある人は2をとる。
1はちょっとした変人がする選択で10人に1人くらしか上手くできないので、あまりおすすめしない。
ただし、私に止めさせる決定権はないから、好きにすれば?と言わざるをえない。
個人的には2でやってみてだめなら2か3を選ぶというノリがいいと思うし、その過程を失敗も含めて楽しみたい。ただ大きいリスクはとりたくないので、そのへんは悩みどころだ。パソコンを派手にぶっ壊してからスクールに入るなんてのは、才能はないがかわいらしい人だ。(昔の私のこと)
(最後に)マーケティングの怠慢とは?
前置きが長くなったが、チケット制とトータルケアの中間はあまりない。
…というよりあっても、そこにサービス利用者がお金を払わない。
例えば、プログラミングのスクールでは以下の4つを学ぶとする。
(1)プログラミングを学ぶ理由を明確にする作業
(2)プログラミング学習の初級
(3)プログラミング学習の中級
(4)プログラミング学習の上級
4つ学んだが、実際には(3)と(4)の内容だけで十分な人はチケット制で学んだ方が2つ学べばいいだけだからこのサービスは高コストだ。(3)や(4)のサービスを切り売りしたところで、売れない。
意外に大事なのが(1)だと思う。スタートラインで方向性を見誤ると修正が難しい。仕事で使えるプログラミング技術が欲しいのに、最初から趣味でしか役立たない学習をしてしまっては、無駄になる。だから本当は(1)を重視すべきだが(1)だけにお金を払って方向性が明確になってから(2)は独習して(3)を学び(4)までのスキルは必要がないので省く…みたいなカスタマイズができるのがベストだが、ベストなプラクティスを選び取るのは難しいので結果的にトータルに学ぶことが肯定されがちだ。
でもこれって正しいことですか?
(1)と(3)しか必要のない人が結局は(2)と(4)のコストも支払うことは、単純に無駄になる。でも(1)から(4)をパッケージ化して販売されている。そのコストを支払うのがお客様の理想だよ、とサービス提供者が言う。本当に?というのが私の昔からの疑問だ。
マーケティングの理想は、ターゲットに売りたいものをベストマッチさせることだ。それに不断の努力や精密な計画を…つまりはコストをかけて取り組む。しかし、必要なものを必要なだけ届けることが理想でも、営利組織は存続できない。営利組織が存在できなくては商売も続けられない。消費者や従業員を含む関係者がすべて困ってしまう。わたしたちは仕方なく妥協して消費者に合わせてサービスをデザインする。消費者は✕✕なのでカスタマイズ制によるベストマッチなんて望んでいない。それよりも分かりやすいほうが訴求性が高い。問題の解決ができればいい。ちょうどいいサイズのパッケージを開発してそれを売ればいい。本当に満足したかどうか判断基準がない顧客は、一番マシなものにとりあえず高評価を押してくれるだろう。
でも何だか違う気がする。マーケターが怠けている気がする。”顧客が本当に欲しいもの”ってどこにある?そって最も現時点で高評価が得られているサービスとイコールなの?違うんじゃないかなとケチくさい私はいつも思うが貪欲なのだろうか。
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