『青竹』を読んだ感想。
恬淡(てんたん)とした控えめの性格がすがすがしい”青竹”のような主人公、余吾源七郎(よごげんしちろう)のお話である。
井伊直政の家臣として仕え、島津家の退却の折に侍大将・阿多盛淳を竹槍で打ち取るも、論功行賞で名乗りをあげず戦場でそれを見ていた本多忠勝に指摘されて発覚するも、常に控えめな態度で周囲の好感が上がっていく。
滅私奉公に勤めて昇進していく日本男子の鏡かな。
蕪(かぶら)を描いた旗の下に描き足された数珠の絵が、一目惚れしたが後に病死した井伊直政老臣の竹岡兵庫の娘のためとは思わず、泣けました。
個人的なメモ
余吾源七郎(よごげんしちろう)…阿多豊後を討ち取った井伊直政の家臣。
伊吹山…岐阜県の境界にある100名山。
鈴鹿山…鈴鹿山脈のこと。
島津惟新義弘(しまづいしんよしひろ)…島津家の大名。
阿多豊後(あたぶんご)…阿多盛淳のこと。
関ヶ原で島津義弘の退却時、命を捨てて時間稼ぎをした侍大将。
伺候(しこう)する…側で使えること。
蕪(かぶら)の絵の差物…蕪=カブのこと。差物…小さい旗印のこと。
審しい…いぶかしい。怪訝な様子。
きけ者…腕利きの人気・権勢の在る者。
逼塞(ひっそく)を命ぜられる…八方塞がりという意味。謹慎処分。屋敷から出られない罰。
前田利常(まえだとしつね)…前田利家の庶子。徳川秀忠の娘と婚姻。大阪夏の陣では徳川側に突いて真田丸を攻撃して多数の死者を出し敗走した。
片桐且元(かたぎりかつもと)…豊臣家の武将で関ヶ原では西軍(豊臣側)に就く。その後も豊臣側の外交官としての手腕を発揮するも淀君に「家康との内通」を疑われて徳川側に一族共に寝返り大阪冬の陣では家康側について闘った。
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