『東の海神 西の滄海』を読んだ感想。

徒然草2.0

ネタバレあり。

チャラ男の延王小松尚隆とガキの延麒六太が主人公のお話だー…というのが初めから分かっていたので、あまり乗り気ではなかった…が、もとはと言えば12国記は戦記物が読みたくて読み始めたのだったな、とは思っている。まあ、そんなこと今まで、すっかり忘れていたが、ようやくその手の話になってきてよかったよかった。なので、勧善懲悪の戦記物。どっかで見たような構成な気もしたが、後半はとても面白かった。前三巻までは、すべてモラトリアム人間的な人たちが主人公(広瀬、陽子、高里)で、ちょっとくすぶっていたよな。

あと、この『東の海神 西の滄海』もなんだか途中までは退屈だったが…謀反を起こした悪人を懲らしめる戦いは、いささか良く出来すぎているのは、ティーン向けのファンタジー小説だからというのもあるから、まあそれはいいとして…内乱を鎮める延王の手腕は見事。後半は特に、ぐいぐい読ませる感じ。村上水軍に滅ぼされた海賊・小松氏の倅・殿様としての矜持には惚れ惚れしてしまいます。王様としても軍略家としても剣士としても一級。それでいて、おおらか。悪く言えば(良く言えば)、有能だが出鱈目。理想の国士だね。

一方、あまり延麒は目立たない存在だったような。。。

延麒六太よりも対照的な野生児・更夜の方が印象的だった。六太の仁だか慈悲に触れたおかげで、六太との間に友情が生まれたからこそ、完全に更夜が闇落ちせずに済んだと言えるのかもしれないが…逆に言えば六太が油断したせいで更夜に人質にされて国が窮地に陥ってしまったわけだ。少なくとも…六太のミスというか更夜の行動のせいで、3名ほど死んじゃっているんですけどね。…六太を逃した女官も死者の数に入れれば、小説中では4人の死者を出している。あと、リビという女官と赤ん坊は別に死ぬ必要もなかった…つまりは犬死に。延麒が大人しくしていれば、延王尚隆が助けにきてくれていたので…そのへんはご都合主義というか、すべてが丸く収まって無かったことにされているような(汗)まあ、どうでもいいですが。

麒麟は血に弱く浴びるだけで何もできなくなるっていう設定が印象付けられた。次も楽しみ。

徒然草2.0
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