色川武大が空襲の時に生活をともにしたお婆さんと関連付けて、自身の悪夢に出てくる老婆の不気味さを描きだしているところだが…これは事実とは関係なく恐怖するものなのだろう。というのは、私自身が老婆が同様に悪夢に出てくるからだが…。
怖い、というのが向こうから脅迫がましく来るものについてだとすると、それとはいくぶんちがって、不気味、というほどの感じがするのは、彼女たちの罪ではまったくないが、お婆さんである。お婆さんの表情は、笑っていなくても、笑っているようであり、笑っていても、笑っていないようである。お婆さんが尋ねていく先のことだけを念頭に思い浮かべながら黙々と道を歩いていく図柄は、私の悪夢のひとつの形式であって、私自身が老境に近づいてきても、それはまったく変わらない。(色川武大『怪しい来客簿(空襲のあと)』)
わかりやすい。
しかし、なぜ老婆は怖いのだろうか?
ヘンゼルとグレーテルや白雪姫に出てくる魔女とか3枚の御札に出てくる山姥の影響か?
古来から老婆は恐ろしいものとして描かれている気がする。
昔話の山姥も決まって追いかけてくる。そして旅人を捕まえて食べてしまう。
あれも老婆恐怖の人類共通の幻想が端を発している気がするが?気の所為?
私も老婆の石像に押しつぶされる悪夢とか見るし、絵本「おしいれのぼうけん」に出てくるねずみばあさんにおいかけられる夢をたまに見る。
幼少の頃に何者かに追いかけられるという夢を見たことがある。
あれの正体は漠然と「老=死」なのではないか?追いかけてくる対象が、江戸川乱歩の少年探偵団に出てくる「青銅の魔人」だったこともある。
老婆関係ないけど(笑)
そういえば、能面の翁は笑っているのが多いというか決まった型があるのだけれど、老婆にいたっては怖い感じのものが多い気がする。
あれはなんか理由があるんだろうか。
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