読書|『超インフレ時代の「お金の守り方」円安ドル高はここまで進む』(藤巻健史)「高市早苗はサッチャーではなくトラスになるのか」

徒然草2.0

ボビー・オロゴンが事業家としてYouTubeに登場し、金融マーケットの未来予想などを語っている。予想が当たっているかどうかはさておき、彼の見解は的を射ており、その分析眼は評価されているようだ。父親が商売人だった影響もあり、肌感覚で経済の動きを掴むセンスを持っている。ただ、自由の国アメリカのウォール街を見ると、そこには黒人や東洋人、ヒスパニック系の姿があまり見られず、圧倒的に白人が多い。なぜ金融業界はこうも白人中心なのか。歴史的経緯と言ってしまえばそれまでだが、IT業界や芸能界などが比較的多民族的であるのに対し、金融の世界は今なお伝統的に民族構造が固定化されているようにも見える。

それはさておき、自民党総裁選では高市早苗が新総裁となり、株価は急騰。一時は日経平均が4万8,000円、ドル円も150円まで上昇。実際はドル円が2円、急激な変動。個人的には「株は安く買って高く売るもの」という原則を重視しており、基本的には静観している。積立NISAを止めたいが止めずにぐっとこらえている。もし参入するとしても信用取引はせず、むしろ売りから入りたく。どこかで値崩れする局面がくると見ている。でもそのどこかが分からないので静観している(堂々巡り)。

そもそも、私がアベノミクス期に米国株を始めたのは、儲けるためではなく資産を守るため、つまりリスクヘッジのため。アベノミクスの背景にあったのは、日本経済の長期的な沈下、いわば「日本沈没」への懸念。したがって、米国株を買うことは日本円からの逃避、他国通貨で資産を保有する防衛策だった。

ただ、運よく資産が増えると「もう全部米国株でいいのでは?」と、目的と手段を取り違えかねない。しかし冷静に考えれば、もともと米国株を持つ理由はドル資産としての分散であって、投資や投機ではなかった。

そう考えると、話はシンプルになる。株価が上がり続けているから米国株を買うのではなく、将来的に日本円の価値がさらに下がる可能性が高いという前提に立ち「ドル」を買うというスタンスに戻るべき時なのかもしれない。コロナ後の金融緩和でドルが膨張し、株式や債券の値動きは激しいが、根本的にはドルを保有することがリスクヘッジになる。

米国債が紙切れになるという悲観論が昔からあるが、それ以上に日本円が高くなる要因は今後見当たらない。であれば、短期的な評価損益に惑わされず、日本円を米国債に替える――それが結局、長期的に最も合理的な選択になる。不動産や金でもいいが、とにかく日本円に関わる価値転換を図るべき。

前置きが長くなったが『超インフレ時代の「お金の守り方」円安ドル高はここまで進む』という本で進められている資産防衛は外貨建MMFを買えということになる。2022年12月に発売された本で植田総裁が就任する前の本であり、10年前からとんでもない内容だと思われていたが現実的なものになりつつある。日本はGDP2.6倍の借金を持つ赤字国家であり、対外資産を持つ経常黒字国ではあるが、経済成長率は低い少子高齢化の進む将来明るい要素は無い。色々な例外はあるが、概ね藤巻健史のいう状態になってきた、と見るべきではないか。日本は成功した社会主義というのは、ゴルバチョフの褒め言葉だが、当時のソ連に比べればというだけ。現在の日本は共同貧乏に突き進む…だけならまだいいが国民にその自覚と覚悟がない。これが一番の問題なのかもしれない。「貧乏ならびんぼうなりにどう生きようか?」と考えればいいだけではあるのだが、それができない。政治的な話をすれば、高市早苗総裁は政治的極右だが経済的極左なのではないか。高市VS小泉など端から茶番で日本経済面に望ましいインパクトがあるかと言えば、どちらがマシかという話でしかない。

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