近代社会なんて所詮は幻想であると1日に2000回くらい私は思っているので、その無意識なる不満を満たしたくて養老孟司の唯脳論を読んでいるのかもしれない。
成田悠輔は、立花孝志やひろゆきや堀江貴文と同様かそれ以上に頭がおかしい人だとインターネット社会で通っていると私は勝手に思っていて、丸と三角のメガネをかけている時点でそういうアイデンティティを表現したい人かもしれないが、でもワリとしっかり向き合うと、人の心をつかむスピーチは面白いし、その後に続くデータによる証明はわりと退屈だったりする。
まあ、よく言えば当たり前なことを言っている。当たり前なことを見過ごさずにするために、おそらく変な人をやっているのだろう。まとめると、Youtubeでスピーチしているところを見ると、結構おもしろいし本はもっと真っ当な感じがする。
…ということでは、この人の不満は本物なんだろう。
著者の略歴にもちゃんと書いてある。
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネス(中略)混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。
くそポエムがビジネスになればいいのに、独り寝言を言い続けて死んでいこうとしている私からすれば、かなり理想的なプロフィールのようだ。
…あとは、変革のための第一歩を、どんな方法でもいいから、できれば民主主義的な手続きを経て、そうしたいという意志を感じている(私だってそうだ。でもくらしいが無くならない以上はその土俵でルールに沿ってタコ踊りをしないといけない)。
いずれにしても成田悠輔は一生懸命こんな真面目な多くの人に見向きもされない本を書くなんて、偉い。売れない本を書くなんて、偉いのかよく知らんけど本気なんだな。
シンガポールでは政治家に成果主義を持ち込んでいるし、年齢制限を設けている国もあるそうだ。それはそれで色々な問題があるが、日本の固有なシルバー民主主義をぶっ壊す!アイデアはたくさんあることすら知らなかったのでいい勉強になった。
インターネットが進化した結果それと合わせて民主主義が劣化したという分析については、そういう着眼点はなかった(2000年にITぷらっとフォーム(Google検索)が台頭してから民主主義が腐敗した?)し、仮にそうであるにせよ制限を加えることで是正するというのはフリーダムさが重要だと考える私には「いかがなものか?」とそもそも思うが、為政者がそういう思想で言論に制限をかけることがまさに論じられようとしている時代(総務相が国会でそのような話をしている)なのも確かであるので、よくよくインターネット好きな私は考えていかないといけない。
まあいっそのこと専制政治したい独裁者がなんちゃって民主主義国の思想を刈り取っちゃってくれたほうが気が楽だと思ったりもする。ただロシアや中国や北朝鮮のように軍人に駆り出されたらもとこもこないが。ジャベリン1つで大戦果を出してやる!と血の気は多い妄想を抱えながら四十肩で真っ先に死んでやろうとも妄想を抱えながら、結局は後ろの方で誤魔化して生き残るのもありかもしれないというくらいにやる気とやる気の無さでいっぱいだ。銀英伝を見ていたら専制政治も悪くないかな?とつぶやいている人がXにいたがプーチンがラインハルトにでも見えたのか。トリューニヒトの面をテレビで拝むたびに反吐が出る思いをしながら腐敗に悪態つきながら無駄死にするほうがマシ。ずる賢く生きるのは体力がいるし「自分は日本以外の水は合わない」。(ようは、帝国主義と自由主義、どっちがマシかなんて、基本的に一国民にあまり関係はない)広大な宇宙なら辺境の土地に逃げられる可能性はあるが、宇宙船地球号は残念ながらさほど広くない。面倒だが民主主義の手続きに沿って私達は現実という頭の中の仮想現実から誤って逃走せず「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」と心のなかで平成の御経を唱えながら正しく「我が闘争」して玉砕しなければ。
そして最終的に人間の無意識データをもとにした現行の機械学習アルゴリズムに修正を施した独自の民主主義の自動化を提言するわけでなかなか時代を先取りしたアイデアを披露してこの本は終わる。20年後か30年後に「こんな本あったよな」と発掘されたい願望が著者にあるらしい。というわけで時代を先取りした本なのだと思われる。コンピュータのアルゴリズムに詳しい人=データサイエンティストが専門だと知らなかったので、勉強になった。
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