『リフレクソロジーの事典』(日本リフレクソロジスト養成学校REFLE)を読んでいる。
リフレクソロジーとは何か?
最近、メンタリストDaiGoが「リフレクソロジーは非科学だ」という趣旨の動画を出したという話を聞いた(動画自体は見ていない)。それをきっかけに、「そもそもリフレクソロジーとは何なのか?」を調べてみた。
「非科学」という言葉は「効果がない」と同義ではないが、科学的根拠や医療的裏づけが乏しい分野が幅をきかせている現状には少し疑問を感じる余地がある。
そこには、ある種の宗教的・信仰的な側面もあるようだ。その背景を探ってみたい。
リフレクソロジーの基本的な考え方
リフレクソロジーとは、簡単に言えば「足つぼマッサージ」のことである。
ただし単なるリラクゼーションではなく、「自律神経のバランスを整え、自己治癒力を高める」ことを目的とした代替医療の一種として位置づけられている。医療行為ではないため、「治す」ことよりも「癒やす」ことで体の自然な回復力を引き出すという考え方だ。
このような代替医療という概念は、1970年代のアメリカで自然発生的に広まったものである。科学的根拠が十分ではないものが多いが、それでも多くの人々が必要とし、実際に癒やしの手段として受け入れてきたという点に意味があるのだろう。
ホメオパシーなども同じカテゴリーに含まれるという。
歴史的背景
リフレクソロジーの起源は古く、紀元前2500年ごろの古代エジプトまで遡る。サッカラの壁画には、人が他者の手足に触れて治療しているような場面が描かれており、これが最古の記録とされる。
また、中国最古の医学書『黄帝内経』には、ツボへの物理的刺激によって反射的に体調を整える方法が記されており、古代インドの『アーユルヴェーダ』にも、足を刺激して心身を整える記述がある。
こうした古代文明の知恵が近代に受け継がれ、20世紀以降「自然との調和」や「癒し」を重視する欧米の健康観と結びつき、現在のリフレクソロジーとして体系化された。日本でもその流れを受けて普及していった。
リフレクソロジーの思想と世界観
リフレクソロジーは「ホリスティック(全体的)」な健康観に立脚している。人間を「体・心・気・霊性」などの有機的な総合体としてとらえ、社会・自然・宇宙との調和の中で健康を保つという考え方だ。
「ホリスティック(holistic)」という言葉は「聖なる」を意味する「holy」と語源を同じくしており、どこか神秘的な響きを持つ。つまりリフレクソロジーは、単なる身体マッサージではなく、精神的・霊的な調和も重視する思想を背景にしているのである。
足と臓器の関係
リフレクソロジーでは、人間の体全体が足裏に反映されていると考えられている。足は「体を映す鏡」であり、足裏の特定の部位(反射区)を刺激すると、その対応する臓器や部位の不調が改善されるという理論だ。足のどこを押して痛みを感じるかによって、体のどの部分に不調があるのかを推測する、という発想でもある。
エネルギーとクリスタルの概念
リフレクソロジーでは、体内に「エネルギーの流れ」があるとされる。これは電気や磁気のような物理的エネルギーではなく、「気」のような目に見えない生命エネルギーを指す。
この流れが滞ると、足裏に「クリスタル」と呼ばれる小さなしこりのようなものが生じるとされ、施術によってこれがほぐれることで、エネルギーの巡りが良くなると考えられている。
日本人とリフレクソロジーの相性
日本にも古くから「青竹踏み」や「ツボ押し」などの健康法があり、足裏刺激に対する文化的な親和性が高い。
靴を脱いで暮らす習慣のある日本人は、欧米人に比べて足の感覚に敏感であり、多少痛くても「効いている」と感じる傾向がある。
この「痛いほど効く」という感覚が、日本におけるリフレクソロジーの受け入れ方を特徴づけているのかもしれない。
まとめ
リフレクソロジーは、科学的根拠が十分ではない代替医療でありながら、古代から現代まで世界中で続いてきた癒しの文化である。
物理学では説明できない「気」の流れや、霊性、クリスタルといった言葉が個人的に気になったが、心身のバランスを取り戻す手段として広く受け入れられてきたのだろう。
これからも、治療を目的とするものではないが、精神や身体を整えるための補助的な方法として、人々に必要とされ続けていくのだろう。
…というわけで、とても勉強になった。


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