世界の警察を標榜していた米国はトランプ大統領のもと米国ファースト主義になりグローバルな経済戦略を引っ込めた。その代わり中国が世界へ影響力を高め周辺国に対して膨張政策を強めていった。
日本人の私は、台湾有事は起きないと思っていた。仮に起きても日本への影響は限定的で、日本列島の日本人の私が飢えるわけじゃないと高を括っていた。台湾の次は尖閣だ沖縄だと言われている。
日本人の私は、沖縄は中国に占領されないと思っていた。中国から見れば、東の細長い国のひとつに過ぎないし、沖縄はその下についたちっぽけな島国。お互いが死者を出して領土を取る意味がどこにある?。中国の上層部からすれば、国内の安定な政治が実現していればいいだけなのに、わざわざ血を流して日本人の領土を奪う意味はないはずだ。
日本人の私は、日本列島は中国に占領されないと思っていた。沖縄が中国に占領され、鹿児島と佐世保から中国軍の揚陸艦が上陸したのは沖縄占領後のわずか数年先だった。しかし、日本人の私は東日本まで中国軍はさすがに来ないだろうと高を括っている。5000万人の人口がいるこの国を中華は血を流してまで合併する意味はない。
米国は国内世論から自国ファーストへと舵を切り日米同盟を解消しパシフィックに防衛戦を引き直している。
日本人の私は、千歳国際空港からロサンゼルス行きの飛行機にのった。かつて日本と呼ばれたこの国は、本州は中国が、北海道はロシアが支配するようになった。日本は消滅した。日本人の私は最後まで日本という物語によって最後までそこに勝手に受動的にあるものだと思っていたが、幻想であった。いつしか、幻想というソフトウェアが、背後に実が伴ってはじめて成立する条件であることを忘れて、その条件を取っ払うことに躍起になっていた。
政治系のSNSで何か偉そうに話をしている人に「戦争になったら戦争にいくか」聞いてみて欲しい。たぶん少し前だったら「いく」が主流だったが、今は「いかない」か話を濁されるだろう。戦争に行くことと政治的な発言をすることは、日本に限らず欧米でもセットだと思っていたのだが、どうもそういう概念を庶民は引き継いでいないらしい、であるにもかかわらず彼らは政治を語りたい戦争を語りたい。これってかなり危ういのではないか?
これじゃあ文字通り脱領土化=逃走じゃん。でも、浅田彰と先﨑彰容の話を聞いていたら浅田彰はそーいう考えの持ち主なのかと驚いた。まあ脱領土化というジル・ドゥルーズの思想は領土化と再領土化の間(はざま)で起こる現象であり楽観的なものではないようだけど。
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