小並感あふれる感想文?ですが。なんとなく岩波ブックレットの「最低賃金」を読みました。
「時給300円で働きたい人がいたら働けばいいんでないの?」(契約自由の原則)とわりと自分は思っている方ですが、でもそれはお気楽ノー天気な考え方であり、端的に言ってよくないようです。
最低賃金で生活できるレベルで保証しておかないと、使用者にとって好都合低賃金にされて貧困化が進んでしまいます。
最低賃金の制度は、色んな立場にある人に最低限の生活を守るためのセーフティーネットがあります。
憲法第二十五条「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」が根拠になります。
セーフティーネットが整えられていて憲法第二十七条第二項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」としており最低賃金制度が作られていったようです。
最低賃金の制度が「セーフティーネット」だと私は思っていませんでした(汗)。
生活に困ってきた時に助けてくれる生活保護や労働できなくなった時にもらえる失業給付などがセーフティーネットであるというイメージはありましたが、あらかじめ賃金を保証しておく最低賃金制度もセーフティーネットなのですね。
ちなみに、戦前日本では最低賃金を定めた法律はなかったそうです。
太平洋戦争の後、労働基準法の4条に「政府が必要と認めるときに限る」最低賃金の定めが追記されたそうです。ただ、この法律は一度も使われていないそうです。
朝鮮特需による高度成長期を経て劣悪な労働環境で働く人々の存在が明らかになり顧みられるようになりました。
(この辺はこの本の主観が幅を利かしている気がしますが)
1つ言えることは現代の最低賃金制度は米国、イギリス、そして以前まではひどかった韓国の最低賃金は日本よりだいぶマシで増額してきているが、日本は物価高や税金が高くなっているのに最低賃金がまだまだ相対的に低いようです。
地方では時給1000円こえていません。
フルタイムで働く正規雇用の給料の50%ぐらい超えている国も多いのに日本は40%ほどだそうです(※2015年のデータ)
現在は住民税非課税世帯への給付金で貧困世帯の下支えをしているようですが、戦費(防衛費)を増やし庶民(というか中間層)の生活は苦しくなるばかりです。
竹中平蔵氏とかが「最低賃金を上げると企業経営が成り立たない」というのはおおよそ嘘であり問題が顕在化したことはないようです。
賃金が支払えない業界は結果として衰退するだけで、そうなった時に考えればいい話だと思います。
労働者の賃金底上げを行うためにも効果がある最低賃金を上げる取り組みを国民はもっと声を上げていくべきなのかもしれません。
コメント
以下のような議論がある。
・最低賃金の額または生活保護の額を、正社員の額と比較して差が年々開いている。
・サラリーマンと個人事業主の納税についての不公平が広がっているから、インボイス制度で是正すべき。
個人的には差はあってもべつにいいと思う。相対的貧困というものを生み出さないための平等という観点がまったく問題がないという気はないけれど、まずコスト面から満たして上げることが重要なのではないか。地ならしが目的になると中間層の努力をふいにしてしまうことにならないか。