プロティアン=proteanとは聞き慣れない言葉ですが、ギリシャ神話のプロテウスのこと。プロテウスは何にでも変化可能な神様であり、「変化自在」や「多方面」を意味します。
プロティアン・キャリアとは、1つの組織で長く働いていくキャリアではなく、自分の価値観や目標にもとづいたキャリアを形づくっていきます。自己主導的に自分の価値観を大切にしながら、環境へ柔軟に対応することを重視します。
…とは言ったものプロティアン・キャリアという概念を大切にすべきではありますが、個人的にはとりちがえると間違えると痛い目に遭うのでは?という気がしますので、あえて批判的に捉えてみたいと思います。
というのも自分でキャリアを主体的に考えることからスキルレベルの基準が曖昧になりがちです。人材市場で価値があるということの評価を行え、なおかつそれをその人に伝えることができる人って一体どれだけの人がいるのでしょうか。
たぶんひとりではそのへんの勝手がうまく行かないので、第三者の意見を聞いて、客観的に今のポジションがどのレベルにあるのかを正確に把握することが大切です。自分の思い込みでスキルを得たと捉えないほうがいいでしょう。例えば、何か資格をとったからといって実務経験者の足元にも及ばないことがある。この変はみんな蔑ろにしがちだし結構コストがかかります。キャリアコンサルの意見を聞いたり、その道のプロに話を聞いたり、行動しないといけません。(日本人は自分でお金を払ってまでキャリアコンサルのアドバイスを聞いたりしない人が多いそうです)自分ではできると思っていても、そもそもスタート地点が目標にかすってもいないこともあります。自分という商品価値が現在のマーケットにマッチするか?をマネジメントする視点を持たなければなりません。
ダニング=クルーガー効果っていうのがあります。最初はある物事に知識を得ていくと何か分かった気になります。いわゆる自信過剰気味です。でももっと知識を得ていって、客観的な評価ができあがってくると自分の無知さに気が付いてきます。キャリアとは職業知識を積み重ねることで目標とする人生を描くための積み重ねなので、独りよがりにやってもダメなのは明白です。
でも、そうして自己投資するよりも商品やサービスをつくって販売する仕組みづくりをしたり、株式や不動産などのリスク資産をもって投資したりしたほうが、成功確率を高められる気がしません?とくに最近そういうふうに私の場合は考えるようになりました(しかし、これにはそれなりの難しさが伴います)。端的に年齢的な問題で努力は何歳になっても有効ですが、社会人においては20代と30代が基本的にリミット。40代はいまある資産を腐らせないようにしていくより他にない気がします。
今の日本の会社組織は(形式的には)社内外のキャリアアップを考えてくれるようにはなっているようですが、望んだ仕事につくということの目標と現在のギャップを冷静に見つめながら埋めていく作業はなかなか骨が折れるし、それができていれば今の自分じゃないよなあ…なんて思ったりもします。と後半は自分の主観というか愚痴っぽくなりましたが、そういう正しい努力ができている人って10人に1人か2人ぐらいの割合いだと思います。
世間は仕事でやってきたことと今現在すぐにできることでしか評価してくれないし、自分の希望が通る可能性があるときは組織がその人材を留めておきたい時に限りますが、運も必要になってきます。運を掴むための努力を惜しまないと言いきれるのであれば、取り組む価値があるかもしれません。
最後に…キャリアには客観的な判断を。
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