「マーケティングの嘘~段階シニアと子育てママの真実~」という本を読んだ。
マーケティングの嘘はおおげさ
この本にはマーケティングの嘘は書いていなかったが、データの取り方や読み間違えをすると取り返しのつかない勘違いをするということがよくわかった。よく分からないことよりも、正しいと思っていたことが誤っていることのほうが取り返しのつかないことになりがちだと思う。ちなみに、この本の著者は「たった一人のサンプル調査「生活日記調査」をすれば絶大な効果が上がる画期的なマーケティング手法がある」という主張に結びつけたいようだけど、母集団の大きさよりも一人のお客さんの声に耳を傾けることが大切だ、と言っているだけで特別に真新しい感じもしない。
主観的なデータは身の回りにある
前々からマーケティングに活用するデータは、客観的であるよりも主観的なほうが重要であると思っていた。私が感じたこと、出会った人が何気ない会話の中で言ったこと。自分や他人が、何に興味があって、どういう趣味があって、どういうお酒を飲み、家があるのか車は何を乗っているのか。旅行はどこへ行き、将来どんなふうになりたいのか。仕事が楽しいのかつまらないのか。そんな話はいくらでも聞けるものだ。当事者のことは当事者に聞くのがもっとも正確だという話であって、特別に真新しい知識は見当たらない。
日記データはブログやSNSがある
日記もわざわざ一人の人にお願いして書いてもらうのではなく、たとえばムラウチドットコムのブログ村に行って世代ごとのブログを眺めるか、それが面倒だったらデータを取得して機械学習とかして傾向つかんでみたほうが、割と役立つデータがとれるんじゃないだろうか。もしくは適当なブログのメタ情報を集めて、地域と性別と年齢を突き止めてから調査をすれば、そこそこ役立つんじゃないだろうか。マーケティングの方法論は決して1つじゃない。他人の日常を読み取る日記はブログにせよSNSにせよ探せばたくさんサンプルはみつかる。
シニア男性や子育てママの実態
シニア男性がやたら活動的なのは、うちの親父を見れば分かる。旅行へ行ったりボランティアしたりなにかしているのが忙しい。非常にアクティブだ。私の家の近くのスポーツジムも、商店街にあるサロンもシニア男性だらけ。五反田が近いからか、ふつーに若い姉ちゃんつれたおじさまに出会う。平日にどこかぶらりと出かければ、シニア男性はどこにでもひょっこりはんのごとく現れる。都内の老人は極めて元気。子育てママの話を聞けば、安易な離乳食を与えている人は意外に少ないことも分かる。根暗の私が話しかけてもいぶかしがられるだけだが、公園でも病院でもコミュニケーションしようと思えばできなくもない。twitterのぼやきやママさんSNSをのぞけば実態は明らかになる。
総括
…といろいろと文句は言ったけど、客観的にいろいろな世代の実態が具体的に書いてある点は非常に面白い。さすがに色々な世代の日記を読み込んでいるだけあって、発見が多い。
以下はこの本を読んで知った知識のサマリー
- 子育てミセスの食生活はひどくない
- シニア層とポストマタニティ層
- エルゴベビーキャリア
- 選挙に行くと行った人の2割は選挙に行かない
- 人は無意識のうちに嘘をつく
- 定量調査は既知の出来事しかわからない
- 生活動線を追いかけることが大切
- カレーを早く作りたいニーズはあるが時短カレー製品はうまくいかない。自宅でカレーをつくるのは、比較的に時間のゆとりがある時に、つくりおきしておくものだから。
- 観察調査=エスノグラフィ
- 京都の旅行者は横ばいだが性別で分けると女性の旅行者が増えており男性の旅行者が減っている
- 新手作り食世代-子育てという現実に直面して生まれる料理の文化
- 子どもが食べるの延長に大人も食べる料理がある
- ジモティ=地元で育って地元で暮らす人
- 孫は目に入れると意外に痛い→割と孫に関わりはなにかと爺と婆にとってストレス要因
- 内孫と外孫の逆転現象→息子の子は、嫁さんの子という意識があり関わりにくく、娘の子は関わりやすい意識がある。嫁さんからも、実母が食品添加物の食品をもってきたら「母さんやめて!」と言えるが義母だと「断りずらい」し「断るのもストレス」になる。
- ホットケーキが食べたくなる理由→昔食べた記憶が思い出されるから
- 昔の人がご飯をよく食べたのはおかずがなかったから
気になったキーワード
・ル・クルーゼ、ティファール、イングリッシーナ。
・カップルアゲイン→シングルミックス→ミングルスタイル
・L・L・ビーン、エディ、バウアー、シエラデザインズ
・エーグルに代表されるレインブーツ
・わしも族
・脱・53週、二十四節気
・春の彼岸にぼた餅、秋の彼岸におはぎ。
個人的にふと思ったこと
・エルゴベビーキャリアの市場独占状態は最近崩れてきていると思う。一時期、電車に乗っていて周りを見ているとエルゴだらけだったが、さいきんはエルゴだらけではない。別のメーカーもちらほら散見される。意外と短いブームだったのではないか。
・日本のカレーは「バーモントカレー」に「こくまろ」入れて作られる。ちなみにうちの実家は「熟カレー」や「ゴールデンカレー」も混ぜる。「うちのカレーの作り方」という題材は面白いのではないだろうか。個人的には、コーヒーをいれるのは好きじゃない。
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