イスラム教はアラブ人ムハンマドが始祖。7世紀にアラビア半島で成立。20億人の信者がいる世界宗教。ムハンマドが40歳頃にメッカのヒラー山の洞窟で天使ジブリール(ガブリエル)に「起きて、覚醒せよ」とお告げを授けられ「最大かつ最後の預言者」と自覚。622年にメディナへ移住、これをヒジュラ(聖遷)と呼び、この年がイスラム暦の元年。イスラム教徒の信者は自らをムスリムと呼ぶが「神アッラーの意思に従う」という意味。メディナではウンマ(共同体)が築かれ、メッカのカーバ神殿は多神教の神が信仰されていたが一神教のムスリムはすべての神像を破壊された。イスラム教徒は偶像崇拝を禁止している。ウンマの拡大や異教徒との戦いをジハード(聖戦)と呼んだ。アッラーは人間的な感情を持つ人格神である。イスラムの聖典をクルアーン(コーラン)という。クルアーンには、アッラーと人間との関係、人間同士の関係について規定されている。結婚や相続などの私的な規範から、公的な政治や外交や社会や文化活動などに言及されている(聖俗一致)。ムハンマドの言行録をハディース、これをもとに作られた慣行や行動規範をスンナという。またこれらの法をシャリーアといった。ムスリムの信仰や行動義務を簡潔にまとめたものを六信(アッラー、天使、聖典、預言者、来世)・五行(信仰告白、礼拝、断食、喜捨、巡礼)という。ムハンマドの死後はウンマの分裂を回避するため後継者(カリフ)が選ばれた。どのようにカリフを選ぶかで多数派のスンナ派と少数派のシーア派に分裂した。また原点回帰したい思想をもった原理主義(ファンダメンタリズム)が生まれた。カリフは後にスルタン(支配者)として政治や外交を行った。イラクのバクダートでは知恵の館が作られギリシャ時代の学問を受け継いで発展。イスラーム独自の神学・哲学・論理学・医学・数学・天文学が発展。
アリストテレス哲学が11世紀にイブン・シーナ(アヴィセンナ)、イブン・ルシュド(アヴェロス)らにより研究された。哲学とは別にスーフィズム(イスラーム神秘主義)が産まれてガザーリーにより学問に取り込まれた。
14世紀に法学者イブン・タイミーヤは改宗したモンゴル人の信仰を認めず非難した。自分たちの信仰の正しいと考えた(サラフ主義)。
イスラーム世界ではユダヤ教やキリスト教は同じ神を進行する民(啓典の民)であることを認めて条件付きで移住など認めているがユダヤ教の選民思想やキリスト教の三位一体説には否定的である。